Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第8回「SGIの日」に寄せて 平和と軍縮への新たな提言

1983.1.25 「平和提言」「記念講演」「論文」(池田大作全集第1巻)

前後
17  国際的環境を緊張緩和へ転換
 世界の軍事化が進行する中で、とりわけ私は日本の果たす責任の重さを痛感せざるを得ません。私どもは、これまで恒久平和主義を掲げた日本国憲法を一貫して守り抜く姿勢をとってまいりました。それは単に日本一国のためというより、平和憲法の精神と理想とを、あらゆる国々、あらゆる民族の心に植えつけ、戦争放棄の人間世界を広げることこそ、恒久的平和への確かな道と信じているからであります。私が日本国憲法の擁護運動を若き青年、学生に託したのは、憲法自体が国家という枠を超えて人類全体に対する信頼感に貫かれているからにほかなりません。第九条を憲法に盛り込むことによって、歴史の流れを先取りした英知と先見は、やがて歴史がはっきりと証明していくでありましょう。
 要は時代の趨勢を人類共同体的方向へ強力に向かわせることです。そのリーダーシップを日本こそがとらねばならない。したがって、我が国の進路は、平和憲法を基盤にした平和国家の道であります。
 日本が真の平和を保ちきるには、国際的な環境を着々と自主的に緊張緩和と軍縮の方向に変える以外ありません。私がかねてから我が国は地球上のあらゆる国々と平和と友好の絆を結ぶべきだと主張しているのは、そのためであります。特定の国と運命共同体的な関係を持ち、強大な軍事力を表にして自国の安全保障を図る行き方は、もはや時代錯誤と言わねばなりません。まして日本列島を″不沈空母″(注・中曽根首相〈当時〉発言)化するような発想は、極めて危険な考えであります。
 先日、青年部の反戦出版の英語版『平和への責務』を読んだアメリカのノーベル賞学者ジョージ・ウォールド博士から、その感想を記した手紙が寄せられました。博士は、このような優れた本が悲惨な戦争を体験した後にしか出てこないことを残念に思うとしつつ、我々の責任は青年をこうした悲惨な体験に陥らせないことだ、と述べています。
18  もはや二十一世紀は我々の眼前にあります。その輝かしい舞台で活躍する若い世代の前途を、戦火が焼き尽くすようなことがあっては断じてなりません。真に民衆が主役の時代を築くか否かは、すべて国民の手にかかっております。その賢明な進路の選択が、今ほど要請されている時はありません。
 私自身、本年も無名の庶民の中に生きる一個の人間として、民衆の側から平和という人類共通の課題に勇敢に挑戦してまいりたい。そして更に大きな民衆勝利の波動を作りあげていくことを念願して、今回の提案としたい。
 (昭和58年1月25日「聖教新聞」掲載)

1
17