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日蓮大聖人・池田大作

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第23巻 「学光」 学光

小説「新・人間革命」

前後
53  学光(53)
 山本伸一は、結びに「『正義』と『真実』の″学の光″を社会に燦然と輝かせ、民衆の新しき歴史をつくるという、私が恩師から託された悲願を実現する担い手こそ、創価大学に学ぶ通教生であります」と訴え、第十三回学光祭のスピーチを終えた。
 創大通教生であることの、感動と決意と誇りが、参加者の胸を貫いた。
 また、この日、通信教育部出身者による教員のグループ「学光世紀会」が結成された。
 その後、通教出身の教師は、年々増加し、現在までに、教員採用試験の合格者は、二千三百人を超えている。
 その教師のなかには、塗装業をしながら創大通教で教員免許状を取得し、小学校の教壇に立った人もいる。不登校の生徒の心を開くことに、挑戦し続けてきた中学校教師もいる。
 通教出身の教師たちは、働き学ぶなかで、自身を磨き鍛えてきただけに、人間性の輝きと強さがある。多くの課題に直面する教育現場にあって、「頼もしい」と、皆、信頼は厚い。
 一九九九年(平成十一年)七月、創価大学本部棟の落成式が行われた。伸一は、本部棟には、優先的に通信教育部の教員の研究室と事務室を入れ、本部棟で行う最初の授業は、通教生の夏期スクーリングにすることを提案したのである。通教は、創価大学の生命線であるとの考えからであった。
 その本部棟の前には、高さ十メートルの「学光の塔」が、凛々しく立っている。塔を飾る躍動感にあふれた男女六体の若者の像は、「挑戦」「情熱」「歓喜」「英知」「行動」「青春」の六つのテーマを表現したものだ。
 塔には、山本伸一が、創価大学に学ぶ一人ひとりへの期待を込めて綴った一文が刻まれている。
 「『学は光、無学は闇。知は力、無知は悲劇』
 これ、創価教育の父・牧口常三郎先生の精神なり。
 この『学光』を以て永遠に世界を照らしゆくことが我が創価の誉れある使命である」
54  学光(54)
 通信教育部の開設から三十四年を経た今、創大通教生は日本国内だけでなく、世界に広がっている。夏期スクーリングには、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、韓国、タイ、シンガポール、オーストラリア等々、世界各国から学友が集う。
 また、夫婦や親子で通教に学ぶ人もいる。
 既に、卒業生は、一万四千人を数え、実に多彩な人材が育っていった。公認会計士、税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士などとして社会に貢献している人も多い。
 通教から創大の通学課程に転籍し、司法試験に合格。弁護士として活躍する人もいる。通信教育部の第一期生で、創大通教の教員として教壇に立つ人もいる。
 臨床検査技師をしながら通教で学び、やがて、水俣病の研究に取り組み、鹿児島大学医学部で医学博士号を取得した人もいる。
 突発性難聴、肝臓疾患などと闘い、通教を卒業。社会人枠で大阪大学大学院に入り、仕事を通して学んだ在庫と経営についての研究で、工学博士となった人もいる。そのほかにも、何人もの博士号取得者が出ている。
 ペルー文学の父リカルド・パルマは叫ぶ。
 「苦労なしに手に入れることのできるものなど、何もない。まして、忍耐なしには、何事も成就しない。ゆえに君よ、断じて、へこたれるな!迷わずに書を読め!そして学ぶのだ!」
 通教生がつかんだ栄冠は、自らの血と汗で勝ち取った人間王者の冠である。
 創大通教は、まさに「民衆教育の大城」「生涯教育の光城」として、二十一世紀の大空に燦然とそびえ立ったのだ。創価の師弟の、勝利の光を放ちながら!
  生涯を
    尊き人生
      飾らむと
    学光王者に
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