Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第21巻 「SGI」 SGI

小説「新・人間革命」

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49  SGI(49)
 山本伸一は、世界平和会議の会場を巡りながら、韓国メンバーのことが頭に浮かび、不憫でならなかった。
 この世界平和会議の日の夜、伸一は、首脳幹部らと、韓国についての打ち合わせを行った。
 「韓国をなんとかしてあげたい。このままではメンバーが、あまりにもかわいそうだ。
 今日、私はSGI会長として指揮を執ることになったが、それは今の韓国のような派閥争いや、組織を利用して私利私欲を貪ろうという幹部を出さないためでもある。
 もしも、こんな状態が続けば、当事者だけでなく、全メンバーが、いや一国が不幸になってしまうからだ。
 それは、何も韓国に限ったことではない。世界のいずこの組織であっても、清らかな信心が流れないようになれば、幹部の腐敗と堕落が始まり、利害にからんだ派閥争いや、分派活動が起こることになるだろう。
 絶対に、そんなことをさせてはならない」
 そして、伸一は、韓国メンバーが仲良く団結して前進していけるように激励、指導することが、SGIとしての最初のテーマであると語ったのである。
 「まず、韓国の相談窓口を設けよう。
 その担当には、人任せにするのではなく、最も力のある最高幹部がつく必要がある。
 そして、足繁く韓国を訪問し、それぞれのグループのメンバーが納得できるように、何度も話し合いを重ねて、全韓国的な組織へと発展させなければならない。
 そこで訴えるべきは、団結の大切さです。
 大聖人は『同体異心なれば諸事叶う事なし』と仰せだ。団結できなければ広宣流布の道を閉ざしてしまうことになる。
 そうなれば何よりも大きな問題は、皆の幸福の道が閉ざされてしまうということだ。それを断じて防がねばならない。
 さらに大聖人は、『日蓮が一類は異体同心なれば人人すくなく候へども大事を成じて・一定法華経ひろまりなんと覚へ候』と御断言になっている。
 どんな逆境にあっても、皆が信心を根本に結束していくならば、必ず事態は開かれ、広宣流布していくことができる。団結こそが力だ!」
50  SGI(50)
 日蓮大聖人は「異体同心にして南無妙法蓮華経と唱え奉る処を生死一大事の血脈とは云うなり」と述べられている。
 広宣流布のために心を一つに合わせ、信心に励むなかに、仏法という生命の大法の血脈が流れ通うとの御断言である。
 われらの団結とは、縦には広宣流布の師匠と弟子との不二の結合である。そして、横には同志との連帯である。
 いわば、師と同志という縦糸と横糸の異体同心の団結によって、広宣流布は織り成されるのだ。
 この異体同心の信心に立つなかに、無量の功徳があり、人間革命、一生成仏の道があるのだ。
 仲良く団結しているということは、それ自体、一人ひとりが自身に打ち勝った勝利の姿であるといえる。わがままで自分中心であれば、団結などできないからだ。
 創価学会は、広宣流布を推進する仏意仏勅の団体である。
 「われらは創価学会仏である」とは、軍部政府の弾圧という法難に遭い、御書を身で読み、獄中で悟達を得た戸田城聖第二代会長の大確信である。
 いずこの国も地域も、その尊き組織を、私利私欲の徒輩に利用され、攪乱されるようなことがあっては絶対にならない。
 御聖訓には「外道・悪人は如来の正法を破りがたし仏弟子等・必ず仏法を破るべし師子身中の虫の師子を食」と。
 広宣流布とは、この破壊の動き、「魔」の働きとの永遠の戦いなのだ。
 グアムでの山本伸一の指導のもと、副会長の泉田弘らが韓国に通い、各地の代表による話し合いの末に、全韓国を統一する″仏教会″が結成されたのは、一九七六年(昭和五十一年)五月のことであった。
 韓国では、その後も分派していく者もあった。日本の反逆者らによる組織の攪乱もあった。
 しかし、それらの試練を乗り越えるたびに悪は淘汰され、団結は強まっていった。そして、二〇〇〇年(平成十二年)四月には、韓国SGIの法人設立が許可され、大きな発展を遂げていくことになる。
 SGI――それは、世界を結ぶ異体同心の絆である。それは、世界平和の赫々たる光源である。

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