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日蓮大聖人・池田大作

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正義はなぜ迫害されるのか 「勝ってこそ正義」を忘れるな

「青春対話」(池田大作全集第64巻)

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12  民衆が立ち上がってこそ民主主義
 ―― 高校生の声に、こうありました。
 「民主主義とは、少なくとも民衆の人権を守るものです。国民の権利を守るために存在しているはずの国家が、国民を陥れるなんて……。大阪事件が、専制政治の社会ではなく、民主主義の社会で起こったとは信じられません」
 「日本という国は、今もそうですが、めちゃくちゃだな、と思います」
 「私は戦争はもう終わって平和だと思っていたけれど、じつは『南京大虐殺はなかった』なんて言っている人が政治家にいることを聞きました。信じられない!
 今、日本には無関心とか『自分はカンケーない』とか、そういうのがあって、それに慣らされていて、そのほうがカッコよくていいと思っていました。でも、それはウソです。私たちはもっと賢くならなきゃいけないと思いました」
 池田 日本の政治が変わらないのは、国民の関心が薄く、自覚がないからでしょう。感情論はあるが、行動を伴っていない。
 他国ならば、暴動になったり、激しい批判行動が行われるようなことでも、長年にわたって「お上」という意識が植え付けられ、何も行動ができない。「民衆が主人」であるという民主主義の精神を捨ててしまっている。小さいエゴに固まり、偉大な正義の集団行動をしていく力がない。ずるく、弱い国民性になってしまっている。愚痴、批判は言うけれど集合体にはならない。それは日本人の大きな弱点です。
 ―― たしかに、現状に文句は言うけれども、変えるために立ち上がりません。
 池田 民主主義は、民衆がもっと厳しく権力を追及し、反抗していかなければ、よくなりません。政治家も、強い信念で道を拓いていく勇気と気概のある人がいない。「自分は偉い」と思ってしまっている。
 その意味からも、選挙というのは非常に重大な主権在民の行動です。「民衆に権力がある」ことを理解させていく草の根運動が大事です。
 戸田先生は「青年は厳しく政治を監視せよ。(悪い政治は)だれが悪いのでもない。国民一人一人の責任だ」と言われていた。
13  まず行動! 「千里の道も一歩から」
 池田 ただし、政治が悪いといっても、クーデターや暴力革命になっては大混乱となってしまう。国民一人ひとりの行動で、良い方向へもっていかなければならない。
 最近、国民の六割から七割が「未来に希望がない」という統計が出ていた。恐るべき不幸なことです。政治が悪くなれば、悪人たちが栄え、善人が滅ぼされる時代となる。そうしてはならない。
 そのために、身近なことから、できる行動をしていかなければならない。「大海も一滴から」「千里の道も一歩から」であることを忘れてはならない。大山も、土と石でできている。一つぶ一つぶの土が結集して、できる。
 そういう本当の「民衆の結集」と、本当の政治の上に、平和な社会ができていくのです。民衆の中で、民衆のために、民衆とともに死んでいく政治家を、民衆がつくっていかなければならない。
 ―― サッカーのワールド・カップ(フランス大会、一九九八年八月)に出場しているイタリアのロベルト・バッジョ選手が、高校生に語ったそうです。
 「私たちは池田先生という偉大な師匠とともにいます。先生の指導を聞けるすばらしい時代に生きています。この『黄金の時代』を大切に、無駄にせず、皆さん、がんばってください!」と。
 池田 立派な人です。四年前、ミラノで、私はバッジョ選手に言いました。「最後の一瞬まで、戦って、戦い切ることです」と。彼は、その通りに戦い抜いた。いくつもの厚いカベを突き破り、今も戦っている。本当に、うれしい。
14  「富士のごとく」動じない自分を
 ―― 高校生からの質問ですが、「どうして、池田先生は勇気をもって、どんな困難も越えていけるのですか。正直言って、今の自分では無理だと思う。どうしたら、先生のように強くなれるでしょうか」と。
 池田 「艱難に勝る教育なし」です。迫害に生き抜くほど、強く、偉大な人間となれるのです。
 私は、常に「大衆とともに」「大衆のために」という信念できた。
 一日一日が、自分自身の建設であり、それがすべての建設につながるという確信をもっている。中傷・批判も恐れない。裏切り者が出ても恐れない。いかなる時でも恐れないという、その努力の結果が、不敗不滅の自分をつくるのです。
 人生や戦いには、前進をする時もあれば、退いたりする時もあります。休んだほうがよい時もある。さまざまな変化があるものだ。目標達成のためには、さまざまな変化があってもかまわないのです。
 知恵が大事であり、知識が大事です。人とのつながりを、社会とのつながりを、よく見極めていける聡明さが必要となる。愚かではいけない。そのために「勉強を積み重ねる努力」が必要なのです。
 そういう変化のなかで、一貫して言えることは、どのような時代になったとしても、人が何と言おうが、いちいち惑わされたり、動かされたりしないことだ。「富士のごとく」動じない信念が大切なのです。勇気と忍耐と才能が備わった「不動の自分自身」という山をつくってもらいたいのです。

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