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日蓮大聖人・池田大作

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アジアの豊かさ 日本の貧しさ 21世紀へ 精神の国際化を

「青春対話」(池田大作全集第64巻)

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13  命と引き換えても友情を守る
 ―― 平和に「貢献」するというのは、具体的には、どうすればいいのでしょうか。
 池田 「友情を育む」ことです。個人と個人、団体と団体、国と国――あらゆる次元で。
 私もそこに徹しています。友情とは一生涯のものであり、永遠のものです。
 沖縄には、その心がある。「大交易時代」の琉球の人々に会ったポルトガル人がいる。マラッカで会ったのだと思うが、「かれらは正直な人間で、奴隷を買わないし、たとえ全世界とひきかえでも自分たちの同胞を売るようなことはしない。かれらはこれについては死を賭ける」(加藤栄一・生田滋訳、トメ・ピレス『東方諸国記』、『大航海時代叢書』5所収、岩波書店)と書いている。
 ―― すばらしい先祖をもって誇らしく思います。
 池田 「心」が大切です。友情の絆をもとう、友情を深めよう、多くの友人をもとうという「心」が基本となり、その上に、さらに具体的なことが積み上がるものです。
 たとえば、長野オリンピック(一九九八年二月に開催)では、長野の小学校の「一校一国運動」が大変成功したと聞いています。
 ―― たしか一校をあげて、ひとつの参加国を応援するという試みですね。
 池田 その国の選手と会ったり、その国のことを勉強したり、オリンピックでは、その国を声援する。とてもすばらしいアイデアだと思う。交流も広がったようです。
 若い皆が国際的な心を養えば、それだけ世界は近くなる。だから海外の良い本も、たくさん読んでもらいたい。
 経済的な「豊かさ・貧しさ」なんて、人間の本当の価値から見れば、ちっぽけなことです。少々、お金があるからといって、それを鼻にかけて人を見下す人間がいれば、その心は乞食のようなものだ。
 そういう貧しい心では、皆から信用されなくなり、やがて経済的にもうまくいかなくなるのは当然です。人も国も同じことです。
 ―― ひとつの国を、すぐに「貧しい国」「豊かな国」というように色分けするのは、色分けする人の心が貧しい証拠ですね。
14  「経済の競争」から「人道の競争」へ
 池田 牧口先生は「経済の競争」の時代の次は「人道の競争」の時代に入れ! と予見し、主張されていた。
 その通りです。これからは「人道」の先進国なのか後進国なのかが基準になっていく。また、そういう時代をつくらねばならない。
 まもなく「二十一世紀」です。二十世紀は、日本がアジアの国々を踏みにじった世紀とも言える。諸君は、その歴史の教訓をしっかり学んでほしい。
 そして人間としての「清らかな勇気」「正しい勇気」「建設的な勇気」で海外の人と接してほしいのです。語学が不十分でも「何とか気持ちを通じさせていこう」という心が大切です。
 「アジア」とは本来「日の出」を意味したという説がある。(古代アッシリア語の「アッスー」、あるいは同じ意味の古代アッカド語の「アス」から)
 若い皆さんが、この歴史の大地に、友情の世紀の「日の出」をもたらしてもらいたい。人類連帯の世紀の「夜明け」をもたらしてほしいのです。

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