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日蓮大聖人・池田大作

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良書との語らい 読書は「人間だけの特権」

「青春対話」(池田大作全集第64巻)

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14  活字が「想像力」「思考力」を鍛える
 ―― 「マンガは読まないほうがいいのでしょうか」という声があるのですが。
 池田 もちろん、「いつもマンガばっかり」では困る。
 大事なことは「自分をつくる」ことです。そのマンガを読んで、自分の生き方が変わった、目からうろこが落ちた、感動で心が洗われた――そういう場合もあるでしょう。
 つまらない活字より、ずっとすばらしい作品もある。
 以前、私も「あしたのジョー」(高森朝雄、ちばてつや画、講談社)について、スピーチしたことがある。「まっ白な灰になるまで」完全燃焼していった青春のドラマです。
 ただし、マンガやテレビは、あらかじめイメージが与えられる分だけ、想像力は育たないという意見もある。
 その点、活字文化の長所は「想像力」と「思考力」を鍛えるという点にあると思う。テレビで見るのと、読むのとは根本的に違う。
 「読む」ということは、頭脳・生命の中に刻みこまれる。自分をつくる大事な「糧」となり、滋養となる。「見る」だけでは、感覚的なものです。見ることは簡単であり、見ていることで知っているつもりになってしまうが、これは″皮膚″のような感覚で、自分の″肉″や″骨″にはなっていないのです。
 今、日本の文化状況は「手軽なインスタント食品が氾濫している」かもしれない。そういう風潮に流されて、本格的な読書に挑戦しなかったら、中身のない、底の浅い人間になってしまう。そうなったら大失敗です。
 私は、ある人に「後悔していることがありますか」と聞かれ、「若い時代に、もっともっと本を読んでおけばよかった。それだけが私の後悔です」と答えました。
 ―― 池田先生が、そう言われるなら、もう我々なんか……どうしようもありません。
15  読書が「可能性の大地」を耕す
 池田 どんなに読んでも、勉強しても、「もう、これくらいでいい」とは言えない。二十一世紀の大樹となるべき諸君です。今のうちに、どれだけ「心の大地」を読書によって耕したか。それで決まってしまう。十分に耕され、養分を豊かにもった大地であれば、大樹は、いくらでも伸びていける。
 諸君はだれでも、自分の中に無限の「可能性の大地」をもっている。その大地を耕す「鍬」が読書なのです。
 自分は精いっぱい読書に挑戦しきった、「もう、これ以上は読めない」「もう、これ以上は勉強できない」。そう言いきれる青春であってほしいのです。

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