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日蓮大聖人・池田大作

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性格って何? 誠実の心が燃えていれば、性格は良い方向に輝く

「青春対話」(池田大作全集第64巻)

前後
14  勇者ガンジーも内気で苦しんだ
 池田 信心をもっている我々は、御本尊に題目をあげることができる。しかし、信心をしていない人も、「美」「利」「善」の大きな目的・目標をもって生き抜き、それに向かって努力をしていけば、良い人生を歩むことができる。
 インドの父マハトマ・ガンジーも、その好例ではないだろうか。
 彼は少年時代から、ともかく並はずれた恥ずかしがりやで臆病だったという。夜、眠る時は「こちらからは幽霊が、あちらからは泥棒が、そして向こうから蛇がやってくるのではないか」と怯え、明かりがなければ寝床に入れなかったそうだ。
 内気で、いつも、だれかに、からかわれはしないかと恐れていた。彼は、この性格に長年苦しんでいる。(K・クリバラーニー編『抵抗するな・屈服するな』古賀勝郎訳、朝日新聞社、参照)
 ―― あの、何ものも恐れぬガンジーの勇姿からは、想像もできませんね。
 池田 ただし、ガンジーさんのために弁護しておきたいが、そのころから″曲がったことはイヤだ″という正義感は強かったらしい。
 イギリス人の視学官が授業を見に来た時のこと、視学官は、英語の「kettle」(やかん)の綴りを書きなさいと命じたが、ガンジーは間違えてしまう。教師が彼の間違いを見つけ、横の生徒のつづりを写すよう、そっと合図した。でもガンジーにはカンニングをするという発想がなかった。その結果、彼一人が、綴りを間違えたのです。(M.K.Gandhi,The Story of My Experiments with Truth,Dover Publications,1983)
 ―― 頑固なまでの正義感――これは一生、変わらなかったのですね。
 池田 とはいえ、弁護士になっても、内気な性格は直らない。ようやく裁判の初仕事の依頼があったが、ガンジーは、自分が相手の証人に反対尋問する番になると、緊張して、″頭がふらふらし、法廷が揺れ動いているように思え、話す内容も全部忘れて″部屋から出ていくありさまだったのです。
 南アフリカ共和国を訪れた時、転機が訪れる。インド人は差別されていた。列車でガンジーが一等車に乗ると、白人が鉄道員を連れてきた。貨物車へ移れと言う。
 ガンジーは動かなかった。すると、車外へ突き出されてしまった。駅の暗い待合室にも、一人の白人がいて、その姿にガンジーは怯えたそうだ。そこで一晩考え込んだのです。″インドへ帰るか、それとも、ふみとどまって苦しみに耐え、権利のために闘うべきか″
 その時、ガンジーは思ったのです。同じように差別されている人々を見捨てて逃げ出すのは卑怯だ――と。″差別されている人を救おう″との目的に立ったこの時から、自分の性格への彼の挑戦が始まったのです。南アに結局、二十年とどまり、ようやくインド人の権利を勝ち取る。そしてインドへ帰り、祖国の独立も非暴力で成し遂げたことは有名です。(弁護士時代の話は、K・クリバラーニー編『ガンディーの生涯』森本達雄訳、第三文明社を参照)
15  個性を輝かす「人間革命の仏法」
 池田 ガンジーは、どこかで「人間はなろうと思った通りの人間になれる」と言っている。一念の力です。いわんや私どもは一念三千の大仏法を持っている。人間革命の仏法です。絶対に自分を卑下する必要はない。自体顕照と言って、自分らしく自分の個性を最高度に発揮し、伸ばし、輝かせていける大法なのです。そのためには「生命力」です。生命力が強ければ、自分の性格が良い方向に出ていく。
 川それぞれに違いはあっても、海に向かって、ともかく前へ前へ進んでいくことです。そうすれば、いつか必ず、″自他ともに幸福″という大海にたどりつく。周りの人たちの個性を喜び、生かしながら、自分も輝いていける、広々とした人生となるのです。
 要は、「自分にできることを、すべてなせ」です。そうすれば、どれほどのことができるか。その結果に、まず自分が、びっくりするに違いない。諸君は、皆、それほど無限の力をもっているのです。

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