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日蓮大聖人・池田大作

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恋愛って何? 今、自分を磨いた分だけ未来に「すばらしいドラマ」が

「青春対話」(池田大作全集第64巻)

前後
10  盲目的・病的になっては青春の敗北
 ―― 「失恋して、生きる希望を失った」という悩みもあります。何か、自分という人間の存在すべてが否定された気がして、この世の中に自分は必要ないのではないか、とまで思い詰める人もいます。
 池田 ″その気持ち、よくわかる″という人も多いでしょう。
 しかし、盲目的、病的になっては、青春の負けです。何があろうと、強く生きなければならない。弱くなってはいけない。青春は、前に向かって進むものです。横に行ったり、後ろに回って闇の中に隠れてしまってはいけない。青春は、物事を悲観的に、センチメンタルにとらえてはいけない。それは敗北者の論理です。″ああ、私の良さがわからないとは、かわいそうな人だな″と思うくらいでいい。
 ロックフェラーといえば、歴史に前例のないほどの財産を築いた事業家です。彼は、貧しかった青年時代、初恋の女性に結婚を申し込んだが拒否された。その理由が面白い。娘の母親が「あんな将来性のない男に娘をやることはできません」(デール・カーネギー『人生のヒント』高牧俊之訳、三笠書房、参照)と言ったのだそうだ。人は案外、見る目がないのです。また彼が、これで発奮したのかもしれない。
 失恋がなんですか。″こんなことでつぶれてしまう弱い自分じゃないよ″と自分を励ますのです。
 今は、その人が″世界で一番″のように思えるかもしれないが、これから出会う百人の中でも一番か。千人の人と比べても一番か、一万人の中でも一番かというと、そうは言いきれないでしょう。また、自分がどんどん成長していけば、人間を見る目も変わってくるものです。
 失恋した人もいるでしょう。また、傷ついて、「もう自分はダメなんだ」と思っている人もいるかもしれない。けれども、絶対に、自分はダメだなどと思ってはいけない。宇宙全体の宝を集めたよりも、かけがえのないあなたなんです。
 たとえ、今、どんな境遇にあったとしても、私は皆さんを、かけがえのない″息子″であり、″娘″であると信じている。必ず立ち上がってくれると待っている。
 強くなるんです。強くなれば、悲しみさえも栄養になる。苦悩が自分を清めてくれる。自分が押しつぶされそうな苦しみの底の底で、はじめて人生と生命の真髄が心にしみ通ってくるのです。だから、苦しんだからこそ生きなければならない。前へ前へ進むんです。
 悲しみを糧にして、もっと大きな自分になればいい。もっと素敵な自分になればいい。苦しんだあなただからこそ、そうなれるんです。顔を上げるんです。自分は一生懸命、生きたんだから、本当は「勝利者」なんです。沈みこんで、変な方向に行っちゃいけない。
 ―― 「悲しければ泣けばいい。一度、涙で全部、洗い流すくらい泣けばいい」という言葉があります。″涙の川を渡る″ことですね。その人には、そういう経験のない人にはわからない心の深さと晴れやかさがあると思います。
 涙の川に沈んだままではいけないということですね。
 池田 苦しみにつけ、悲しみにつけ、喜びにつけ、ありのままの思いを祈りにこめて唱題していけば、自然のうちにいちばんいい方向にいくものです。
11  一生に一度、最高の恋をすればいい
 ―― 「友人の中には、いつも彼氏がいないと不安で、別れてもすぐに次の彼氏をつくる人もいます」と語っていたメンバーもいました。
 池田 どんな生き方も、その人の自由だし、人それぞれ性格も違う。しかし、異性だけを絶えず追いかけるような青春では寂しいと思う。
 恋愛をするなら、生涯に一度、最高の大恋愛をすればいいのではないだろうか。それが結婚に結びついていくなら、なお望ましい。もちろん、そうはならないこともあるでしょう。しかし、最初から恋愛は恋愛、結婚は結婚と割り切るのは、どちらの相手にも失礼だと思う。
 問題はまだ多いだろうが、未来への無限の可能性を秘めた皆さんです。焦ってはいけない。急いで年をとる必要もない。好きな人がいても、それを胸に秘めて、「いつの日か、あの人が誇りにしてくれる自分になろう」「そのために自分を磨こう」と頑張る生き方があってもいい。
 相手に伝わっても伝わらなくても、胸の奥のその思いは、時とともに芳醇な果実酒のようになるでしょう。大人になってからも青春の思い出を香り高く包んでくれるでしょう。そして、皆さんの人格を、芳しく、奥行きのあるものにしてくれるのではないだろうか。

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