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日蓮大聖人・池田大作

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月光の城 創価の道を照らせ 大月天子よ! 汝自身の宇宙に 満足の笑顔の光りを

2000.7.25 随筆 新・人間革命3 (池田大作全集第131巻)

前後
6  私たちの「月の思い出」は、限りない。
 ある日、ある時、銀の琵琶湖に浮かぶ満月も美しかった。
 霧ケ峰の、″天に一番近い″研修道場で見た名月。
 「永遠の都」ローマの遺跡に立ちたる我を見ていた月。
 香港から沖縄に帰着した晩、友が作りし凱旋門から仰ぎ見た満月の笑顔。
 ロサンゼルスのアメリカ創価大学のキャンパスで、妻と眺めた名月。
 そして、仏法発祥の大恩の国・インドで、悠然として、大帝王のごとく、小さな地球の人類を見守っていた満月。
 それは、一九七九年(昭和五十四年)の二月十一日。
 戸田先生の七十九歳のお誕生日であった。
 その日、私は、マハトマ・ガンジーの高弟であったJ・P・ナラヤン氏を、パトナの自宅に訪ねたあと、夕暮れのガンジス川のほとりに立った。
 やがて、「月氏の国」の夕空に、あの堂々たる満月が昇ってきたのである。
7  かつて戸田先生は詠まれた。
  いざ往かん
    月氏の果まで
      妙法を
    拡むる旅に
      心勇みて
 私は、この師の和歌の通りの人生を歩み抜いてきた。
 それは、わが生涯の永遠の誇りである。
 あの日の満月は、未曾有の″仏法西還″の旅を、美しく照らし出してくれた。
 強く、正しき慈光を満々と湛えながら、寛大な微笑をもったその満月を仰ぎ見た時に、一番幸せな瞬間は、この日であり、この時であったと、私たち夫婦は記録した。
8  月の光には、常に、天の音楽がある。
 錯乱の人間を癒す力がある。
 月の光に染められて、初めて人間は、自分自身を振り返り、和らいだ心を取り戻し、優しく、広々とした魂の歌を歌いたくなる。
 そこには、目には見えない、無数の教えと宝がある。
 そして、喜びがあり、平和があり、生き抜く希望が輝く。
9  私は、ある著名な詩人である賓客と、八王子の東京牧口記念会館でお会いした。
 有意義な語らいが、牧口初代会長の殉教の話へと進むなか、一緒に牧口庭園を見た。
 その時に、満月が皓々と新緑の丘の上に昇った。
 「すばらしい。すばらしい」と、皆、感嘆した。
 私は、その丘を「月光の丘」と名づけ、その満月に照らされた牧口記念会館を「月光の城」と名づけた。

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