Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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(一)
小説 青春編「アレクサンドロの決断」他(池田大作全集第50巻)
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冷えたサイダーをコップに注いで、八重子おばさんがすすめてくれた。
「もうじき、光枝が勤めから帰ってくるから……。そしたら、晩ご飯にするからね。きょうは、ごちそうだよ」
そう言いながら、八重子おばさんは楽しそうに台所へと立った。
光枝が帰宅したのは、六時を少し回ったころだった。外は、まだ明るい。
「一城君、いらっしゃい! よく来たわね」
「こんにちは――」
「久しぶりね。元気?」
「ええ……まあ……」
「何年生になったの?」
「中学二年になりました」
「どう? 学校生活は楽しい?」
「はあ……何とか……」
「あまり元気がないわね。長旅で疲れちゃった? 若いんだから、も少し、シャキッとしなくちゃだめよ」
笑顔をいっぱいに浮かべて、光枝は語りかけてくる。はつらつとしている。その明るさに、一城は何となく圧倒される気分だった。
二人のやりとりをニコニコしながらながめていた八重子おばさんが、声をかけた。
「さあ! ご飯ができたけぇ。みんな、はよ、来んさい!」
テーブルの上に並べられたたくさんのおかずをつつきながら、一城は八重子おばさんに聞いてみた。
「おばさん、原爆が落ちたとき、広島にいたんでしょ。そのときのようすを聞かせてくれませんか」
八重子おばさんは、ハシの手を休めて、一城の顔を見つめた。
「……そのうちにな。時間は、たっぷりあるけん、まあ、あわてなさんな」
聞けば、すぐに話してくれるものと、思っていた。だが、そうした一城の期待は、少しあてがはずれた。
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