Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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熱原の三烈士
詩歌・贈言「青年の譜」「広宣の詩」(池田大作全集第39巻)
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ああ神四郎無勢なり
厳しき
眉目
おもて
に血は
奔
はし
り
一歩も退かず
巌
いわお
のごと
多勢の悪徒悩ませど
無念に力尽きはてぬ
渦巻どよむ
小舟
ふね
なれば
捕縛
なわ
をうけるは二十人
護法の友に涙なく
政所へと縛られぬ
一人の女人もありにけり
いま滝泉寺と弥藤次が
訴人となりて一党を
幕府の鎌倉引き立てぬ
ああ幾年の村あとに
別れの
譜
うた
か秋の風
その罪名は策意あり
「日秀始め神四郎
多数の百姓さしずして
刀剣
弓矢
きゅうし
を帯しゆき
滝泉寺へと乱入す」
問注所への嘆願も
芒を乱す風の音
その糾問のありさまも
足蹴の誹り人非人
日々月々に伏し
疼
いた
む
7
我が世の月と時めける
平左衛門頼綱は
無辜
むこ
の信徒を
法庭
にわ
に出し
強く問う声魔神かと
口髭反らす哀れなり
「汝ら早く妙法の
信仰やめて念仏を
申して帰れ安堵せよ
もしや信仰捨てぬには
重罪その罪恐ろしや」
声も荒らに言い
遣
や
りて
はるかに衆を見下しぬ
その巌かな顔色に
いかなる剛の者たりと
蠢く虫と伏しおがむ
いざやされども神四郎
かねては覚悟の上なりと
声爽やかに色見えず
端座の姿そそり立ち
憂身恐れず自若たり
「われは申さん明らかに
法華の信仰さらに増す
いかなる法門君とせん
王を瓦に替えんとや
問うも愚かと言いつべし」
思いの外の強言に
衆人せきと声をのむ
頼綱狂い激怒して
汝ら百姓分際で
天下の管領なんとみる
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人もなきかの雑言よ
憎げの姿 天魔らが
これぞ無智なる下郎
人
びと
暫し示さんこの弓を
判官あるかとわが子さし
蟇目
ひきめ
をもちて伏してみよ
弓取りあえず判官の
飯沼武士は
鏑矢
かぶらや
を
満とひきいて狙い射つ
如来の使いか神四郎
鏑矢走りて
紅
くれない
の
流れる血にもひるむなく
見守る友の合掌は
御経
みきょう
を
誦
ず
して声涼し
天下の法庭 なにゆえに
蟇目の
調伏
ちょうぶく
剛信に
苦悶の乱れ終になく
平の長官
兵士
つわもの
は
眼みあわせ驚けり
見よや
微
かす
かに笑みありて
聞けや
擁
いだ
きし信の声
糾問無益と法庭は
牢所
ろう
にひきいて閉じられぬ
多事
蒼惶
そうこう
の弘安の
松風
浪
なみ
に鳴るときに
俄に牢所の三烈士
死滅の剣で首はねん
黙する天は瑠璃光り
寂する地には花薫り
過ぎ去りゆくが霊山
寂光
会上
えじょう
に飛びゆきて
真如の都に遊びけり
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平頼綱
矛
ほこ
おさめ
残るは追放十七士
名残りもつきずわれ斬れと
後世の善処に新たなる
誉れの汗に
躍動
ちから
あり
人は見渡し襟正し
宝玉の身か
草鞋
わらじ
身か
武士も恥じいる志士なりと
讃える心胸深く
姿ばかりは意地はりぬ
諸行無常の鐘やみて
常楽我浄の風吹けば
ああ神四郎その
兄弟
ともら
淋しく法戦消え去りぬ
繁れる
法庭
にわ
の杉木立
はや時去りて時は来ぬ
春秋ここに十四
歳
とせ
篝火ほのか朝まだき
頼綱屋敷に急襲の
兵
つわもの
かこみて火を放つ
朧
まぼろし
の夢 月満ちて
執権凌ぐ権力者
その王座をば狙いしに
叛乱
むほん
の
咎
とが
に
誅死
ちゅうし
さる
飯沼判官ともに死す
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刹時の内に身も
家宝
いえ
も
薄き光と消え果てぬ
謀叛悪逆背に負うて
一家一族亡びけん
栄えも空し憂世波
生死流転の神四郎
桜の花に吹く風に
あれよ広布の
鑑
かがみ
よと
その名かんばし熱原の
烈士の命 誉れあり
(1971.10.12)
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