Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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師弟の誓いの天地・氷川 君よ新社会建設の英雄たれ

2003.7.23 随筆 新・人間革命6 (池田大作全集第134巻)

前後
4  弘教三百万世帯を遥かに超えて迎えた「十年後」のその年(昭和三十九年)は、既に恩師は世になく、奇しくも七回忌にあたっていた。
 この年の七月、私は、恩師との誓いを確認しながら、氷川に集った水滸会員に言った。
 「君たちよ、広宣流布という大目標に向かっての人生であってくれたまえ。この世に生を受けた汝自身の使命を新たに自覚されたい。勇気! 勇気の生命を脈動させ、私と共に、広布のため、創価のために、大激戦を勝ち抜いてもらいたい!」
 私は、この年、牧口、戸田の両先生の悲願であった新たなる教育改革のために、満を持して、創価大学の設立構想を世に問うた。
 私は、政治の改革を求める衆望に応えて、公明党を結成した。
 ともあれ、私は、そして学会は、あらゆる迫害を覚悟のうえで、社会の荒波に決然と正義の船出をしたのである。
 日蓮仏法は「立正安国」をめざす宗教だ。社会の現実にまい埋没するのでも、逃避するのでもない。あくまでも、社会のど真ん中で、民衆の幸福と勝利のために戦う、「変革の宗教」なのである。
 ゆえに、広宣流布に立ち上がった創価の青年こそ、社会と時代の偉大なる平和革命の闘士である。教育や政治はもちろん、あらゆる分野で光り輝く社会貢献の英雄なのだ。
5  師弟誓願の天地・氷川――ここに、若き弟子たちが手作りで築いた氷川池田青年研修塾(現在は氷川東京青年研修道場)が完成したのは、一九二八年(昭和五十七年)八月であった。
 私は、翌年と翌々年の二年続けて、若葉の五月に、この青年塾に足を運んだ。
 なかでも二度目の時には、水滸会の第一回野外研修から三十周年の意義を刻もうと、青年たちが河原にキャンプファイアーをたき、真心の設営をしてくれていた。
 その心が、本当に嬉しかった。
 私は「修行坂」と命名した百六十二段の急坂を下りて、河原で、青年たちと心ゆくまで歓談することができた。嬉しく、満足だった。
 夕刻、行事を終えた私は、急坂を上り始めた。
 「挑戦だ! 挑戦だ!」日頃の激務で疲労がたまっていた私は、自らを鼓舞しながら上っていった。
 途中、青年が「先生、これを」と差し出したのは、一本の杖である。二股に分かれた柄の部分を私が両手で持ち、青年が反対側を持って、前で引っ張ってくれた。
 おかげで、かなり楽に上れたが、さすがに息が弾んだ。
 呼吸を整え、青年に感謝の言葉をかけ、それから、先に上がっていた妻に言った。
 「いやー、大変だったよ。だけど、私にも上れたよ」
 「だって、『修行坂』ですもの。大変なのはわかっているでしょ。あなたが名前をつけたんですよ」
 笑いが渓谷に響いた。
 生涯、修行である。挑戦である。尊き広宣流布の戦いに停滞はないのだ。
6  戸田先生は、あの氷川での一夜、我が子であり、弟子である我々に、厳粛に遺言のごとく叫ばれた。
 「私の真の弟子であるならば、広布のために、創価のために、最後の最後まで戦い続けよ!」「三類の強敵の嵐は、いよいよ激しく襲いかかってくるであろう。しかし、断じて負けるな。断じて勝つのだ!」
 今また、私の胸に沸騰する願いも同じである。
 青年よ、最極の尊き広宣流布の全責任を担い、戦え! 断じて創価大勝の永遠の道を切り開け! 
 私が鍛え、磨き、二十一世紀に残す「宝剣」こそ、君ら青年であるからだ。
 ある哲人は叫んだ。
 「正義とは、行動に移された真実である」(ベンジャミン・ディズレーリ)と。(The Oxford Dictionary of Quotations, Oxford University Press)

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