Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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(四)
小説 青春編「アレクサンドロの決断」他(池田大作全集第50巻)
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紀元前三四〇年――。ミエザに、春は四たび回ってきた。草の柔らかい芽が一斉に伸びようとして、野は、見渡す限り薄緑の毛氈を敷いたようになった。
やがて、この春かぎりで学問所も閉鎖されるという報せがペラから来た。
この頃、アレクサンドロスの父フィリッポス二世は、ヘレスポントス海峡近くまで兵馬を進め、要都ビザンティオンをうかがうとともに、これに刺激されるアテナイの軍ともやがて一戦は避けられないとして、備えを固めつつあった。
アレクサンドロスも十六になっていた。
巣立ちの時が来ていたのである。
アリストテレスは、一時故郷スタゲイロスに退いて、静かな学究生活に入っていた。
アレクサンドロスと貴族子弟達の一行が、ペラをさして帰って行く。彼らを野のはずれの分かれ道まで見送ったフィリッポスは、皇子の馬上姿が見えなくなるまで手を振り別れを惜しんだ。
見返ると、学問所の白い建物が、森を背負って遠く小さく日に輝いている。その懐かしい三年余の学舎のたたずまいを胸深くしまうと、フィリッポスは一人、遠い遊学の旅路についた――。
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