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日蓮大聖人・池田大作

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女子部・婦人部合同協議会 伸び伸びと楽しく女子部の新時代を

2006.2.14 スピーチ(2006.1〜)(池田大作全集第100巻)

前後
25  ところで、モンゴメリの著書を発刊していた出版社が、彼女を欺き、その作品によって不当な利益を得ようとしたことがあった。出版社側は、著書の出版をめぐる契約について不当な主張を行い、それを承諾しなければ裁判に訴えると脅しをかけてきた。
 裁判には、多大な費用がかかる。こうして脅せば、モンゴメリは引き下がるだろう――その本質には、女性を見下した傲慢があったに違いない。しかし、不正な要求と権利の侵害に対して、モンゴメリは決然と立ち上がる。
 法廷では、相手が卑劣な嘘の証言を行ったこともあった。しかし、彼女は断固として「真実」を訴え、困難な法廷闘争を戦いぬいた。モンゴメリはつづっている。
 「わたしのなかの何かが、不正とごまかしに対し黙ってはいられない」(メアリー・ルビオ、エリザベス・ウォーターストーン『L・M・モンゴメリー〈赤毛のアン〉の素顔』槇朝子訳、ほるぷ出版)
 「わたしは闘争心を盛り上げて、彼らのおどしなどには目もくれず、とことんまで闘う決意をしたのです」「降参するつもりなど全くありませんでした」「わたしたちは前進を続けたのです」
 「わたしは真実を話していましたし、恐れずに話しましたので、彼はわたしに打ち勝つことはできなかったのです」(F・W・P・ボールジャー、え・R・エバリー編『モンゴメリ書簡集』1、宮武潤三・宮武順子共訳、篠崎書林)
 闘争は、およそ十年間にわたり、断続的に続いた。そして、悪質な脅しや、卑劣な嘘の証言をはね返して、見事、勝利の判決を勝ち取ったのである。
 不正や嘘に対して、黙っていてはいけない。女性だからといって遠慮する必要はない。大切なのは、勇気をもって戦うことだ。正義の声をあげることだ。それが、時代を変える原動力となるのである。
26  本当の幸福は「心の財」
 ここで、モンゴメリの著作から、わが女子部の皆さま方に、幾つかの箴言を贈りたい。
 彼女は、ある小説で登場人物に語らせている。
 「私は地位も富も権力も手に入れた。だがね、そんなの成功とは言えないんだよ」「どれもこれも、大きな子供の玩具だよ。そんなものでは、魂は満たされない」(「帰郷」いぬいななこ訳、『時の果実』所収、篠崎書林)
 地位や富や権力は、はかない。簡単に消えてしまうものである。また、これらを手にしたからといって、本当の幸福を得られるとは限らない。むしろ、虚栄や虚飾にとらわれて、不幸の人生へと落ちていく場合もある。信頼できる友人もなく、さびしい人生を送る人もいる。
 御聖訓には、厳然と仰せである。
 「蔵の財よりも身の財すぐれたり身の財より心の財第一なり
 もちろん、豊かになり、社会的に活躍していくことも重要であろう。しかし、何よりも大切なのは「心」である。そして「信心」である。
 大聖人は、「ただ心こそ大切なれ」と仰せである。
 どんな立場になっても、友のため、人々の幸福のため、広宣流布のために生きぬいていく。何があっても、学会とともに、同志とともに歩みぬいていく。そう決めて進む「心」に、無量の福徳が薫っていくのである。幸福の人生がらんまんと花開いていくのである。
27  青春の苦労は最高の宝
 また、モンゴメリはつづっている。
 「どんな人の人生にも憂欝と落胆の日々があるだろう。そんなとき、人生の何もかもがつまらなく思えるのだ。晴れ渡った日にも雲はある。けれど、いつでも空に太陽があるということを忘れてはいけない」「冬のあとには、私たちを悲しませない次の人生の春がくる」(メアリー・ルビオ、エリザベス・ウォーターストーン編『モンゴメリ日記 愛、その光と影』桂宥子訳、立風書房)
 最高の青春の道をまゆく皆さんは、わが胸中に妙法という「希望の太陽」が、厳然と曜いていることを忘れてはならない。必ず「希望の春」が来ることを忘れてはならない。
 モンゴメリは、こうも記している。「これまでわたしが経験した困難や、いろいろな事に際して徹底的に苦痛を味わった、おかげで、他の人々の失敗や苦闘や試練に対して、(中略)ずっと思いやりを持つようになりました」(前掲『モンゴメリ書簡集』)
 今は、苦労も多いかもしれない。思いどおりにならないことばかりかもしれない。しかし、若き日の苦労は最高の宝である。すべてが、自分を強く、大きくする糧となっていく。多くの人々を包み込んでいくための力となっていく。また、必ず、そうしていけるのが仏法である。
28  さらに彼女は小説のなかで、主人公のアンに、こう語らせている。
 「どんな子にも何かしらいいところがあるのよ」
 「教師のつとめは、その長所を見つけて、伸ばしてあげることよ」(『アンの青春』松本侑子訳、集英社)
 人材育成に、おいて大切なのは、一人一人の長所を見つけ、それをほめ讃えていくととだ。伸ばしていくことである。
 『アンの青春』のなかで、アンが歌う詩の一節に、こうあった。
 「朝ごとに、すべては新しく始まり
 朝ごとに、世界は新しく生まれ変わる」
 また、この詩の続きには、「今日は新しく生まれ変わる好機」(前掲『アンの青春』の中で紹介)とある。
 どうか皆さまは、同志とともに、一日また一日、生まれ変わっていくように、新鮮な息吹で前進していただきたい。人と比較する必要はない。あくまでも、自分らしく、粘り強く進めばよい。また、途中の姿で一喜一憂することはない。最後に勝てばよいのである。そして、絶対に勝っていけるのが、妙法である。
 大聖人は仰せである。
 「(法華経の行者が)法華経を受持する所を『当諸道場』(道場〈悟りの場所〉に至ること)というのである。この裟婆世界を去って、極楽浄土等の他の国土へ行くことではない」(御書781㌻、通解)
 仏法では「本有常住常寂光土」と説く。今いる使命の舞台で、最高の勝利者となり、最高の幸福者となっていくことができる。そして、一家も、地域も、すべてを生き生きと変革していけるのである。
 幸福は、自分自身で決まる。自分の心で決まる。強い心を持てば、景色が一変する。何を見ても違って見える。強くあることが幸福なのだ。何ものにも即されない強い生命へと磨きぬき、鍛えぬいていくのが、この信心なのである。
29  わが生命に幸福の宮殿を輝かせ
 まもなく、待望の「創価女子会館」が信濃町に誕生する。会館の壮麗な全容も見え始めた。
 とのほど、女子部の皆さまの強い要請にこたえて、私の妻が、同会館の「名誉一日館長」に就任することが決まった。わが女子部の新たな宝城の誕生を、私も妻も、何よりも楽しみにしている。皆さんが思う存分に活動できるよう、私たち夫婦は、これからも全力で応援していく決意である。
 「御義口伝」には、「南無妙法蓮華経と唱え奉るは自身の宮殿に入るなり」と説かれている。妙法を唱え、広宣流布に生きゆくことは、わが生命に、また友の生命に、金剛不壊の「幸福の宮殿」を輝かせていくことである。どうか、希望あふれる女子会館の建設の槌音とともに、はつらつと、堂々と、わが宮殿を荘厳していってもらいたい。
 ともあれ、女子部の輝かしき朗らかな前進が、確かなる広宣流布の前進だ。わが女子部の皆さんは、全員が一人ももれなく、「健康博士」たれ! 「幸福博士」たれ! 「勝利博士」たれ――妻とともに、そう心から念願して、記念のスピーチとさせていただきたい。
 どうかお父さん、お母さんにも、よろしくお伝えください!
 きょうは、本当にありがとう!
 (東京・信濃文化センター)

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