Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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4 口承の経典化
「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)
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大切な教えは暗唱
池田
「開三顕一」のことですね。よくわかります。
ところで、インドには、大切な教えは文字に書きとどめるのではなく、暗唱し、心にとどめていく習慣があったようです。
この点はいかがでしょうか。
季
そうですね。インドの古い時代には文字がありませんでした。バラモン教の聖典である『ヴェーダ』は、師から弟子へと代々口承で伝えられてきました。
池田
『法華経』が編纂された時期はどうですか。
竜樹の著とされる『大智度論』には「仏口の所説を弟子弟子誦習し、書して経巻を作る」(大正25巻)とあります。この「経巻」とは大乗経典をさしています。文字で記して経典を編纂したようですが……。
季
『法華経』が形成された時代には、インドにも独自の文字が存在しました。すでにアショーカ王の碑文が刻まれています。それが証拠です。
池田
蒋先生、口承が経典として編纂された『法華経』に関して、諸経典と比べて何か特別な点がありますか。
蒋
『法華経』自身から、『法華経』書写は一つの修行であり、『法華経』を永遠たらしめる功徳であることがわかります。
『法華経』書写は、まさに信仰を体現する修行であり、功徳を積む方法の一つでした。
書写は二種類あり、一つは、信徒自身が書写するものです。もう一つは、信徒が供養者、あるいは布施の主としての立場で、お金を出して人に書写してもらうというものです。
大乗仏教では、功徳は回向できると信じられていましたから、写し手が書写を通して得られる功徳は、写し手自身に属するだけではなく、供養者や施主にも回向されるとされました。
要するに、この二種類の書写は、いずれも修行のため、功徳を積むためであったのです。
池田
『法華経』を読むと、文字や暗唱で伝えられてきた仏説のなかから、釈尊の思想の核心を選び取り、見事に蘇らせている、とひしひしと感じます。
編纂者のなかに、釈尊の悟りに肉薄し、つかみ取った俊逸がいて、見事にリーダーシップを発揮したとしか思えません。
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