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「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)

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2  善書と悪書
 池田 ところで、季先生の読書好きは有名です。すでに中学生のころから”読まない本はない”と言われたと聞きました。
 だれしも青春の日に学んだ一書一書が、人格形成に大きな影響を与えています。先生に最も影響を与えた書物について、お聞かせください。
  それは、儒家の『論語』『孟子』等、道家の『荘子』『老子』等です。
 仏教では仏伝『ラリ夕ヴィスタラ(Lavitavistara.遊戯の詳細)』、『妙法蓮華経(法華経)』等です。
 池田 『妙法蓮華経』は、この「てい談」の中心話題となる一つです。
 また、私も、中国の古典の『論語』や『孟子』等に親しみましたが、それらに包含された「東洋の智慧」についても、のちほど語りあいましょう。
 季先生は、本の善し悪しを決める基準について、どのように、お考えでしょうか
  そうですね。書物の善し悪しの基準、役に立つか立たないかの基準は、人によって違うかもしれません。
 私が考える基準は、次に申し上げる項目を満たしているかどうかです。
 一、その本が人の前進を励ますことができるか、もしくは後退させるか。
 一、その本が人に楽観的精神を与えるのか、悲観的にさせるのか。
 一、その本が人の智慧を増すのか、愚かさを増すのか。
 一、その本が人の倫理道徳のレベルを高めるのか、下げるのか。
 一、その本が人に力を与えるのか、惰弱にするのか。
 一、その本が人を励まし、困難に立ち向かわせるのか、屈服させるのか。
 一、その本が人に高尚な美感を与えるのか、それとも低級で下品な感じを与えるのか、です。
 池田 明快な基準を示していただき、ありがとうございます。
 読書は青年の権利です。青年がこの基準に照らして、良書に親しむととを願うものです。
  私はかつて、池田先生の『人生抄ーー池田大作箴言集』中国語版の序文を書かせていただきました。
 この七つの基準から先生の『人生抄』を推し量りますと、すべてあてはまると思いました。
 人に前進する力を与え、人に楽観的精神を与え、人に智慧を与え、そして人の精神を高め、人の倫理道徳のレベルを高め、人に力を与え、人が困難に立ち向かわせるのを助け、人に高尚な美感を与えてくれるのです。
 この本を読み、私自身も美しくなっていくように感じましたまた心の中に、青春の活力がみなぎってくるようでした。
 もっとも、私は、良い本も悪い本も全部読みます。良い本を読むのは栄養を吸収するためで、悪い本を読むのは、いったいなぜ悪いのかを見るためです。反面教師にすることができます。
 もちろん、自分自身の研究に関する本は、読まないわけにはいきません。それは多ければ多いほどよいのです。
 池田 お互いに、本の話になると、話が尽きません。
 私の恩師・戸田先生は「青年は世界的な文学をつねに読んでいきなさい」と教えられました。良き文学は人の心を広くします。人の心を引き上げてくれます。
 青年時代、夜学の帰り、古本屋街へ寄っては、ためた小遣いで古本を手に入れたーーあの喜びは忘れられません。感銘した文章はノートに書き写し、次々と読破したものです。
  書物は人類の智慧が貯蔵された宝庫です。読書をしなければ、先人の智慧を受け継ぐことはできません。まして、いっそうの発展向上には、とうてい及びません。
 二十一世紀の青年は必ず読書をしなければなりません。しかも、多ければ多いほど良いのです。これは、当然の道理です。

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