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日蓮大聖人・池田大作

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江東・墨田・荒川区青年各部合同の集い 雄大な人生、壮大な未来を

1988.12.25 スピーチ(1988.11〜)(池田大作全集第72巻)

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14  ところで、この御手紙は短く簡潔な御文である。そのことについて御手紙の末尾には「事多しと申せども年せまり御使急ぎ候へば筆を留候いおわんぬ」──書きたいことは多くあるけれども、年の瀬も迫り、使いの方も急いでいるので、筆を留め置くことにした──と仰せになっている。
 すなわち″法門のことは、いくらでも書いて差し上げたい。しかし、今は年の暮れであり、どの家でも忙しく、また人手がることであろう。ゆえに、この使いの方を長時間、引き止めて待たせては気の毒であるし、少しでも早く帰して差し上げたい。短い返事となってしまうが、どうかそうした心であることを察していただきたい──″との、大聖人のまことにこまやかな御心づかいが拝されてならない。
 また、内容は短い御手紙であっても、この″一言″が添えられたことによって、大聖人の御心が平七郎に何倍も深く、強く伝わっていったにちがいない。
15  次元は異なるが、私どもの日々の振る舞いにおいても、こうした″一言″の重みを大切にしたい。ともすれば″言葉足らず″であったり、″表現がへた″なために相手にいやな思いをさせ、感情的になって互いにそんをしている場合がある。リーダーとなりゆく諸君は、この点をよくよく考えていっていただきたい。
 たとえば会合で、「忙しいところ、また寒いなかを本当にご苦労さま」と言われれば、心はなごむ。それを「会合なのだから来て当たり前だ」というような傲慢ごうまんな心、権威的な心であっては絶対にならない。それでは、賢明な「庶民の心」は、どんどん離れ去っていくにちがいない。人を見下すようなまずしく、いやしい心の人は、これまで退転していった幹部にも如実にみられるように、結局、自分自身をほろぼしていってしまう。
 ともあれ、難解な仏法の法理を教えていくことも当然、大切なことである。とともに、社会の荒波の中にあって、厳しい現実とけなげにたたかっている尊い仏子ぶっし、我が同志の″きょう″を、そして″あす″を、どう守り抜いていくか。いかにして最高に価値ある前進のリズムをつくり出していくか。広布の指導者は、この一点をつねにみずからの心に課し、決して忘れてはならない。そして、日々の生活、身近な足元を大切にしていく意味からも、年末は、それぞれの″我が家″の一年の締めくくりと新年の準備をしていただけるように心を配ってほしい。
 どうか諸君も、ご家族とともに本年を有意義に締めくくり、お一人お一人が最高に素晴らしい″正月″を迎えていただきたいと申し上げ、私のスピーチを結ばせていただく。

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