Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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5 「科学主義」の蔓延
「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)
前後
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複雑な環境問題
池田
季先生の言われたように、分析思考モデルによる「要素還元主義」的な方法、それ自体が問題となっております。
対象を専門領域に引き裂く専門化、生き生きとした具体性を捨象する抽象化、生命のつながりを排除する機械化、多様性を切り捨てる一元化、全体をバラバラに分断する還元という方法ーー近代的な理性は、こうした武器によって、自然を支配し、利用する知の獲得において絶大な勝利をおさめました。
しかし、こうした理性によってもたらされる知は、その本質から言って局所的なものにとどまらざるをえないでしょう。
ところが、これが、ドグマとなって近代人の思考の全体を方向づけてきたところに、問題が生起してきたのです。そして二十世紀になり、征服したと思い込んでいた自然から激しい復讐を受けているのです。
地球規模の環境問題は、経済の格差の拡大と貧困層の増大や、人口、エネルギー問題などと密接に絡みあった複雑な問題系です。
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「天人合一」思想の宣揚
季
救う方法はあるのでしょうか。当然あります。私の考えでは、その方法とは、東洋文化の総合思考モデルをもって、西洋の分析思考モデルを救うことです。
まず初めに、中国人、東洋人の哲学思考にのっとり、そのなかでも最も主要な「天人合一」の思考にのっとって、大自然と交流し、徹底的に悪行を改め、善行に努め、根本的に方法を改めることです。
こうして初めて、人類は幸福に生存し続けていくことができるのです。
大自然に対する破壊を抑制し、大自然からの報復と懲罰を避けようとすれば、必ず東洋の「天人合一」によって、自然を征服する考え方ややり方を改めなければなりません。
われわれはまた、宗教に対するのと同じように、「天人合一」の思想を宣揚し、この思想が深く人心に浸透し、自覚的に遵守するようにさせなければなりません。西洋に対して宣揚するだけでなく、東洋に対してもしかりです。
蒋
季先生が指摘されたように、「科学主義」はないがしろにできない問題です。
「科学主義」という問題を把握できたならば、人類社会の致命的な疾病、あるいは最大の時弊に対して診断をくだしたことにひとしくなります。
「科学主義」という疾病は、すでに全世界に蔓延してしまいました。その症状は、科学を万能とし、理を重んじ、文を軽んずることです。
中国を例にあげれば、科学は、すでに深刻なまでに人々に誤解されています。
「科学」という言葉を乱用する現象は、普遍的に見られ、社会、とくに大学のなかで、理を重んじ、文を軽んじる現象は、今に始まったことではなく、目下ますます激しくなりつつあります。
もはや難病となってしまったと言えるでしょう。「科学主義」という難病を治す処方筆は、人文精神を大いに発揚しながら、正しい価値志向をもつ思想で、人間を教育し、社会をコントロールしていことです。
具体的に言えば、季先生がおっしゃったように、「われわれはまた、宗教に対するのと同じように、『天人合一』の思想を宣揚し、この思想が深く人心に浸透し、自覚的に遵守するようにさせなければならない。西洋に対して宣揚するだけでなく、東洋に対してもしかり」ということです。
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