Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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5 仏教と「天人相関」説
「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)
前後
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重用された『金光明経』
季
漢代にいたると、武帝が「儒教一尊主義」の政策をとります。
董仲舒
とうちゅうじょ
は、当時の儒家の代表的人物です。彼は、真剣に、そして明確に「天人の際、合にして一なり」との思想を打ち出します。
『春秋
繁露
ばんろう
』人副天数には、「人に三百六十節有るは、天の数に偶す。形体骨肉は、地の厚きに偶す。上に耳目の聡明有るは、日月の象なり。体に
空竅
くうきょう
理脈有るは、川谷の象なり」(「東洋大学中国哲学文学科紀要」7、東洋大学文学部)とあります。
また陰陽義には「天も亦喜怒の気・哀楽の心あり。人と相副う。類を以て之を合すれば、天人一なり」(「東洋大学大学院紀要」40、東洋大学大学院)と。
董仲舒の「天人合一」思想は、非常に明らかです。ただ、彼の「天人感応」説は、時に迷信の色彩をもっているようで、その点、注意を払わないわけにはいきませんが。
池田
董仲舒は、自然現象と社会現象の相関関係を強く主張しました。君主の行いが良ければ自然も順調に推移するが、君主の行いが悪ければ天変地夭が起きて、君主に警告を発するという考え方です。こうした「天人相関」説は仏教の受容にも影響を与えたようです。
中国では、災異説を説いている経典が重視され、国王が悪い政治を行っているために天変地異が起こることを説いた『金光明経』が、その代表として、とくに重用されました。漢訳や注釈もさかんに行なわれました。日本の日蓮大聖人も、国主諌暁の書「立正安国論」の中で、この『金光明経』を引用しております。
また妙楽大師は『止観輔行伝弘決』で、中国の陰陽五行説にもとづいた「天人合一」の思想を紹介しています。
日蓮大聖人も「この身において天地の姿に模倣していることがわかる。頭の円いのは天にかたどり、足の四角形なのは地にかたどり……」(御書567ページ、通解)と該当個所を「三世諸仏総勘文教相廃立」に引いて、内なるミクロコスモスと外なるマクロコスモスの相関を述べています。
そして、「天が崩れるならばわが身も崩れ、地が裂けるならばわが身も裂け、地水火風が滅亡するならばわが身も滅亡する」(御書568ページ、通解)と述べ、個々の生命とそれを生みだし育む天地・宇宙との盛衰が一体であることを示しています。
とともに、この宇宙を構成する根本要素をすべて含んだ根源の法が「妙法蓮華経の五字」であり、あらゆる生命にこの宇宙の根源が内在するゆえに、それを聞き顕せば、すべての人がその身のままで成仏し、自他ともの幸福を開く自在の境涯を確立できると論じています。
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宋代の理学
季
宋代にいたると、中国で言う「理学」の生まれる時代となり、多くの「
大儒
だいじゅ
」が出現します。
その学説は、部分部分で異なっていますが、「天人合一」においてはほとんど同じです。
張載
ちょうさい
は、明確に「天人合一」の命題を提起していますし、
程頣
ていい
は、「天、地、人、只一道なり」と言っています。
張載の「西銘」にこうあります。
「地上すべての人と物は、天を父とし地を母として発生している。われわれ人間は砂たる小さな存在であるが、広漠たる天地万物の聞に存在しすべてのものと密接な関係を持っている。
われわれの身体は、天地間に充塞する陰陽の二気によって成立している。われわれの性は、陰陽の気を主宰する天地の心を受けている。
故に、天地を父母とする万物はみな同類であり、人々はみな同胞である」(山崎道夫『近思録』明徳出版社)
池田
宋代の理学は、宋以降の華厳教学、さらには天台教学の展開に影響を与えていると言われますね。
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