Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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2 一元発祥説と多元発祥説
「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)
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「西欧中心史観」に異議
季
次に、「文化」の発祥についてですが、大まかに言って、二つの見方しかありません。一つは一元発祥説であり、二つ目には多元発祥説です。
一元発祥説は、世界でただ一つの民族において文化が発祥すると主張するもので、その民族として、ノルデイック(北欧人)をあげています。
そのほかの民族は皆、文化をもたらさず、しかも文化の破壊者だと言うのです。これはファシズムの理論であり、当然、私たちの取り上げるところではありません。
私は、文化の多元発祥説を支持しています。大小を問わず、世界のどのような民族も文化を創造し、人類の文化全体に貢献をなしうるものと考えているからです。
しかし、各民族が創造する文化は、質と量においておのおの相違があり、なかには非常にかけ離れているものもあるというのが、歴史的事実です。
この点を認めなければ、「実事求是」の態度とは言えないし、科学的態度とも言えないでしょう。
池田
ナチスばりの極端な一元論は、もはや、ほとんど唱えられなくなりました。しかし、文化や文明に対する歴史的な考察は、いまだ西洋中心に大きくかたよっております。
へーゲル、ランケ、マルクス……、こうした思想家たちに典型的に見られるように、十九世紀には、西欧を中心にした世界史像が描かれました。
十九世紀と言えば、西欧が世界を席巻した時代です。その事実にもとづいて、「西欧こそ世界の中心である」という自己イメージが二千年、三千年の過去にまで投影され、こうした世界史像が創造されました。
これに対して二十世紀になると、西欧の行き詰まりを鋭敏に察知した歴史家たちによって、「西欧中心史観」に対する異議申し立てが行われるようになります。代表格は、なんといっても、第一次世界大戦中に『西洋の没落』の第一巻を発刊したO・シュペングラーであり、浩瀚な『歴史の研究』を著したトインビー博士でしょう。
どちらも、人類史的な視野に立って、さまざまな文明が誕生し、発展し、衰亡していく過程を、ダイナミックかつ多元的に描き出そうとしております。
ちなみに、シュペングラーは八つの高度文化を、また、トインビー博士は、二十一あるいは二十三の文明圏の存在を認めています。
蒋
『文明の衝突』の著者(S・ハンチントン)は、東洋文明が急速に興りつつあるという事実を目の当たりにして、西洋文明が直面している危機を憂慮し、それゆえに西洋社会に対して警鐘を鳴らしているように思えます。
このような憂慮とは、「西洋中心史観」へのある種の否定と理解できるのではないでしょうか。
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文化体系の形成
季
さて、文化は異なる地域の異なる民族によって創造されてきたものではありますが、結局のところ、これらの文化は、いくつかの比較的規模の大きい文化体系を形成もしくは結合しています。
私の考えでは、有史以来、今日にいたるまで、人類は四つの文化体系を形成しております。
四つの文化体系とは、以下のとおりです。
一、中国文化体系。(日本文化を含む。これはある種の改造と発展があった)
二、インド文化体系。
三、古代へプライ、エジプト、バビロン、アッシリア、アラブ、イスラム、セム族文化体系。
四、古代ギリシャ、ローマおよび欧米近現代のヨーロッパ文化体系。
蒋
季先生は、「文化交流の必然性と複雑性」という講演の中で、「文化システム」には、必ず「特色があり、独立可能で、影響が大」という基本的三条件がそなわっていなければならない、と述べられたことがありますが、世界中でこの三条件がそなわった文化は、今あげられた四つしかありません。
池田
「文化の体系」や「文化の創造」を分類する方法は、論者によってさまざまですが、あまり細かな分類では議論が煩雑になり、問題の本質が明らかにならないきらいがあります。
その意味において、季先生の分類は、人類の「文化の体系」の本質を、大局的に把握されています。真摯に学ばせていただきます。
季
以上の四つの「文化の体系」をさらにまとめますと、二大文化体系に分けることができます。
一つは「東洋文化体系」であり、上述の一、二、三の「文化の体系」を含みます。もう一つは「西洋文化体系」であり、上述の四がそれにあたります。
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