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日蓮大聖人・池田大作

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2 インドから西域、中国へ  

「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)

前後
1  シルクロードは「宗教の道」
 池田 さて、『法華経』は、広大なインドから、次に西域へ、東アジアへと広がっていきました。いわゆるシルクロードは、法華経』を伝えた「ロータス・ロード(蓮華の道)」でもありました。
  そうです。シルクロードは同時に「宗教の道」でもあったのです。
 僧侶と商人は互いに助けあい、補いあうだけでなく、互いに依存しあって生きていました。中国やインド、他の国々の高僧の多くは、シルクロードを通って往来しました。
 池田 『法華経』は、時間を超えて、地域を超えて広く人々に信奉されていきます。そして、多くの民族、数々の文化のなかで、普遍的な価値をもち、また独自の展開を見せてきました。
  『法華経』は古代西域に伝わり、その地の仏教史において、最も広く、かつ長く影響を及ぼした仏教経典となりました。
 それは、先ほど申し上げたとおり、古代に西域と言われた地域から今日までに出土した梵文『法華経』写本の数がきわめて多く、発見地の範囲も広く、版本の複雑性、書写された年代が時間的に長期にわたっているという事実等の面からみても、他のいかなる仏教経典も比較にならないからです。
 たとえば、古代に西域と言われた地域において、今までに発見された『金光明経』の梵文写本はきわめて少量です。
2  諸民族の信仰集めた『法華経』
 池田 西域の諸民族も、『法華経』を厚く信仰したようですね。
 この数年、私どもの東洋哲学研究所では、ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクトぺテルプルク支部が所蔵する写本・版本等を、「法華経とシルクロード」展として、東京(一九九八年)、ウィーン、ドイツのヴォルフェンビュッテル(いずれも二〇〇〇年)で開催しました。
 東京展では、『法華経』など、シルクロード全域にわたる十三種類の文字、十四の言語の写本・版本が展示されました。
 縦書きもあれば横書きもありました。貝葉ばいようや紙だけではなく、白樺の樹皮もあれば皮革もありました。じつに豊かな広がりを感じました。
  よくわかります。
 『法華経』はまずインドから西域に伝わり、続いて西域からシルクロードを経て中国に伝わりました。
 池田 そうですね。漢訳以外にはチベット語訳、モンゴル語訳、古代トルコ語訳、満州語訳、安南語訳などがあります。近代では、E・ビュルヌフによるフランス語訳、H・ケルンによる英語訳、南条文雄と泉芳璟による日本語訳などの訳本があります。
 漢訳では鳩摩羅什訳の『妙法蓮華経』が「絶後光前」の名訳として著名で、今でも読誦されていますね。西夏語訳などは漢訳からの重訳です。
  歴史上、そのように『法華経』はチベット語、ウイグル語、西夏語、モンゴル語、などに翻訳されたのですが、これらの言語を使用する民族の文化に対しでも、同様に重要な影響を及ぼしました。

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