Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

 

詩歌・贈言「青年の譜」「広宣の詩」(池田大作全集第39巻)

前後
1   
 竹林の彼方
 おちこちに茅葺きの家
  
 誰が弾く琵琶か
 響き高く低く
  
 鬼芭おにすすき静かに直立して聞く
  
 王朝の殉難の王子
 悲恋に病みし姫の面影
 幽界よりいでて
 芒の容貌となったのか
  
 細歯を多く身にまとい
 王子と姫と二人だけでは
 淋しいから
 大勢の家来を連れて来たのか
  
 芒原
 華やかな都には咲かない
 緑の袴を着し
 曠野を漂白さすらい疲れて
 山々に休みつつ根を張ったのか
  
 穂芭よ
 細い足を針金の如く
 銀色の腕で
 金色の顔で
 無心に誰を呼ぶのか
  
 風 盛衰の道を吹く
 玉の露の 涙を流し
 寒風に たえて咲く花芒
2  幼き日
 十五夜の絵のごとき
 月見の夢も 今は侘し
  
 万葉の友は いかにと謳う
 古今の友は なんと詠む
  
 黄昏の箱根路
 白雪の不二
 薄っすらと聳えたつ
  
 繊細の綾なす
 蒔絵の絵筆の先に
 芒原が なかったならば
 むなしく
 君の舞台は消えてゆく
 秋風に栄枯の道がある
  
 芒よ お前は
 老境の胸中をそっと撫でているのか
 路傍に 土手に 気高くありて
 青春の{途}(みち)を避けて暮らすのか
 青春の人の昇華を眺めつつ生きるのか

1
1