Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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民衆
詩歌・贈言「青年の譜」「広宣の詩」(池田大作全集第39巻)
前後
1
水平線の彼方
大いなる海原のうねりにも似た民衆
よろこびも 悲しみも
轟々と雪崩をつつみながら
今日も何かに戯れながら
共々に生きゆく民衆
本来
民衆の叫びと強さを 超えたものはない
本来
民衆の英知の歩調を 凌いだものはない
本来
民衆の正義の旗に 勝れたものはない
だが これまで
そして今も――
民衆の 民衆のための歴史は
受難と窮乏の涙で綴られてきた
ある詩人は謳った――
地上に無知と悲惨とがある限り
われらの戦いは 已むことがない と
黒き権力者よ
汝には敏感にして病める民衆の
孤独の嘆息が聞こえないのか
世の識者よ
汝には一原子の中に
全宇宙の法則が充満していることを
見抜けないのか
汝には遥か遠く
彷徨
さすら
い歩む大衆が
無気力な忍従の道具としか見えないのか
2
「民衆」――
それは私の好きな言葉
民衆よ!
君はなにゆえに
心の嵐をおさえて
圧政の巌の下のみが
己れの運命と思っているのか!
なにゆえに
古い鎖を切り落とさないのか!
君には
死者の歴史より生者の歴史の
主人公としての権利が あるではないか
流された血は償うべくもない
溢れた涙は返すべくもない
ああ しかし――
君よ 黙するな
君よ 諦観してはならない
君よ 倦怠してはならない
ひとにぎりの権力者が支配する
愚劣な歴史の
反復
リフレイン
に終止符を打つために
その哀しい
啜
すす
り泣きに
止
とど
めを刺すために
民衆の群舞の波で
未来の
民衆
とも
のために
勝利を飾らなければならない
今こそ――
権謀をめぐらす元老や
佩剣を鳴らす将軍や
きらびやかな貴顕富豪のみが往来する
虹の劇の幕を下ろすのだ
そして
天を仰ぎ 地に転びながら
君たちが舞台の主役となる
もう一つの歴史の劇を作業しゆくのだ
3
民衆よ――
君こそ 現実だ
君をはなれて 現実の世界はない
時代は
真
まこと
の民衆運動を
祈り待っていることを忘れまい
君こそ――
すべての者が流れ入る大海であり
すべての者が 混沌のなかから
新しき生成のために鍛錬される
溶鉱炉であり
坩堝であることを忘れまい
そして すべての者の
真正と邪偽とを峻別する
試金石であるのだ
科学も哲学も
芸術も宗教も
あらゆるものは
民衆に赴くものでなければならない
君のいない科学は冷酷――
君のいない哲学は不毛――
君のいない芸術は空虚――
君のいない宗教は無慙――
君を睥睨する者どもは
脚下にするがよい
冷たく分析し 裁断する者には
拘泥すまい
君の土の匂いを嫌う人間は
無視するがいい
4
黙々と労働する君よ
陽に灼けて逞しい筋骨の君よ
僕は 秘められたる君の心臓の
純なる溌剌たる鼓動を聞く
僕は生涯 君のために
奔
はし
る
一見 孤立して見えるとしても
僕はいつも君のために
ただ君のために挑戦しゆくことを
唯一の 誇りある使命としたい
僕も戦う
君も戦う
君の無骨な手がふるえ
素朴な顔に輝きわたる生の歓喜を
この地上に獲得するまで戦う
僕も戦う!
君も戦え!
君たちのいる
涯
はて
の涯まで
確かなる速度をもって
今日も戦う!
(1971.9.28)
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