Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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第8章 教師は「最大の教育環境」
「21世紀への母と子を語る」(池田大作全集第62巻)
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子どもの未来は可能性に満ちている
舘
私自身、そのことを実感する毎日です。
ある時、家に帰って、子どもに「ああ、本当に疲れた」と言ったことがありました。
すると、子どもは「お母さんは、今までずっと、いつも『疲れた。疲れた』って言ってるよ」と。
思わず私は「あなたたちのために頑張ってるんじゃない! だから疲れるのよ!」と言いたくなりました(笑い)。でも考えてみると、自分でそのつもりはなくても、どこかしら“甘え”や“愚痴”の気持ちが出ていたのだと思います。
子どものおかげで、そのことに気づきました。私にとって、子どもたちは、最大の協力者になってくれています。
渡辺
アンケートで最も注目されたのは、次の結果です。
八割以上の子どもが「自分は努力すれば、たいていのことはできる」と考えているのに、「子どもは努力すれば、たいていのことはできる」と考えている親の割合は六割強。教師にいたっては、二割以下という結果が出たのです。
池田
いろいろと考えさせられる結果だね。
もちろん、さまざまな現実を見たり、経験したりしている教師や親からすれば、「努力すれば、たいていのことはできる」と簡単に言えないのは事実でしょう。
自分の「過去」を振り返ってみて、そう思うのかもしれない。
しかし、子どもの目は「未来」を見つめている。子どもにとって、「未来」は可能性に満ちている。
それを、親や教師の考えの「枠」に当てはめて、可能性をつぶしてはいけない。
戸田先生はよく「青年は、夢が大きすぎるくらいで、ちょうどいいのだ」と言われていた。
もちろん人生の先輩として、適切なアドバイスをすることは必要だが、できるだけ子どものやる気を尊重していきたい。
渡辺
教師は、たとえどんなことがあっても、あきらめてはならないと、自分に言い聞かせています。
かつて先生から、このような指針をいただきました。
「創価小学校より
銀河の如く
社会の人材が
光ることを思うと
喜びで身がふるえる
万事よろしく」
私の教師としての原点です。
舘
知らず知らずのうちに、教師や親の態度が、子どもの「やる気」を失わせている場合が多いのかもしれませんね。
池田
そう。子育ては、セリーン博士が言われていたように、「自信を与える」こと、「ほめて伸ばす」ことです。
教育心理学に「ピグマリオン効果」という言葉がある。
難しい説明は省きますが、教師や親の期待が子どもの成績などに大きな影響を与えることです。
いつも「おまえは、だめだ」とか、「どうして、こんなことも分からないのか」と言っていれば、子どもは「自分はだめな人間だ」と思ってしまう。
生命には、“伸びよう”“成長しよう”“殻を破ろう”とする本然のリズムがある。
それを、どう伸ばしていくかです。
アメリカの思想家・エマソンは、「教育というものは、人間と同様に広大なものであるべきだ」と言った。
人間の生命は、本当に大きな可能性をもっている。
ですから教育は、人間を鋳型に入れるような抑圧的なものであってはならない。
人間の「広大さ」をそのまま開いていける「広大さ」と「知恵」が必要なのです。
“理想の教師”などいません。あえて言えば、子どもといっしょに、成長し続ける教師こそ、“最大の教育環境”にふさわしい教育者と言えるでしょう。
「常に一生懸命」「常に成長」が、人間教育に携わる者の要件です。
牧口先生は言っている。
「教師は自身が尊敬の的たる王座を降つて、王座に向ふものを指導する公僕となり、手本を示す主人ではなくて手本に導く伴侶となる」(『創価教育学体系』第四巻「教育方法論」)と。
「公僕」とは、「仕える人」です。
「伴侶」とは、「友」です。
権威をふりかざすのではなく、「子どもに仕える人」として、また「子どもの真の友」として、行動していける人が最も偉大な教育者である――ここに、私どもが進める「創価の教育革命」の心があるのです。
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