Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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(三)  

小説 青春編「アレクサンドロの決断」他(池田大作全集第50巻)

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6  「一城君! あらっ、えらいじゃない。読書中ね」
 「……ああ、光枝ねえさん。お帰りなさい」
 「よく降るわね、この雨……。さっ! 晩ご飯よ」
 茶の間へ入ると、八重子おばさんが料理を並べていた。
 「さあ、どんどんおかわりしんさいよ。今晩で、おしまいなんじゃけぇね」
 いろいろと心に残る広島への旅だった。けれどもまだ、八重子おばさんから、原爆の話は、聞いていない。もう、今夜しか、チャンスはない。食事が終わったら、おばさんに言ってみよう……一城は、ハシを動かしながら思った。
 テーブルの上を片付けると、光枝がスイカを運んできた。切り分ける光枝ごしに、一城は、テーブルの向こうにちょこんと座っている八重子おばさんを見つめた。おばさんは、優しいまなざしを、光枝の手元に注いでいる。一城の心を読み取るように、おばさんはそっと口を開いた。
 「一城ちゃんと……ちょうど同じ年ごろじゃったんよ。あの日は……灼けつくような太陽と……青空が、いっぱいに広がっとってねぇ……」
 八重子おばさんは、語り始めた。長い……長い……物語だった。

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