Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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1 文化と歴史を見つめる目
「希望の世紀へ 宝の架け橋」趙文富(池田大作全集第112巻)
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豊かな「三宝」のユートピア
池田
美しき「自然景観」「花と実」「人心」ーー「三麗」の済州島。
なんとすばらしいユートピア! まさにあこがれの地です。
私も実際に島の皆さんにお会いして、「美しき人心」を実感しました。
また詩情豊かな風土に触れ、かぎりなく詩心を呼び覚まされました。この島は詩人を育む地だなと思いました。
ところで、「三宝」のほうは、何が挙げられますか。
趙
これも諸説あるのですが、先ほどの判断基準から考えると、「水」「生物」「方言」になるかと思います。
まず「水」。観光産業の陰になって意外と知られていないのが、済州島の水はおいしいんですよ。
済州島の水は、玄武岩のすき間を
通りぬけ、アルカリ分・鉄分を豊富に吸収し、ミネラルが適量含まれていることで定評があります。
少し前まで、大韓航空の国際線の中だけで使われていました。
池田
貴重な「名水」なのですね。
趙
近年になって、市販されるようになりましたが、最近では逆に、地下水の水不足を心配する声が高まっています。
「三宝」の二番目は、「生物」です。
陸上の動植物のみならず、近海中の動植物も種類・量ともに、豊富であり、しかも食用とする場合でも、大変質がよいと言われています。
これら生物資源が豊富なのは、一つの島の周辺で亜熱帯性、温帯性、寒帯性の三つの気候が入り交じり、加えて海流もほどよく流れていることによるものです。産業を興すのにも適切な条件を与えていると言えます。
池田
島全体が、天然の巨大な博物館とも言える。
人間だけでなく、あらゆる生物にとっても「ユートピア」ですね。
ところで、三つ目が「方言」というのは、おもしろいですね。
趙
済州島は、韓半島と離れているという地政学的理由から、文明の伝播に不利であるも言えるのですが、その半面、伝統的な文化を保持するのによい条件であるとも言えます。
事実、済州島は、独特な民族や伝説を多く残しています。
なかでも「方言」については、古来のものがそのまま残っている場合も少なくありません。
戦後の学校教育により標準語を使うことが多くなったのは確かですが、今でも郊外の老人たちは日常的に済州方言を使っているため、その分、他の地域より、多くの方言が残っていると思われます。
池田
「方言がもつ力」については、どのようにお考えですか。
趙
方言にかぎらず、伝統的な文化が保存されているということは、過去の祖先の生活における合理的な知恵を見つけ、その知恵を現代の生活に応用するのに役立つことになると思います。
そうして生まれた文化の精神的あるいは心理的安定感が、文化のダイナミックな力動性をも助長するのだと思います。
ちょうど、祖父や祖母にかわいがられて育った孫が、精神的にも安定して力を発揮するようなものです。
池田
なるほど。よくわかりました。
その「孫」は、歴史的、地勢的位置などから、見方を変えれば「日本」なのかもしれません。
貴国の文化という大いなる知恵を吸収し、自分たちの生活に応用していった。そして、現在の豊かな生活を築き上げた。
しかし、いかんせん、その「孫」は、残念ながら「恩知らず」でありました。
済州島ーー「三麗の島」「三宝の島」。
私たちの祖先は、済州島からも貴国からも、絶大な恩を受けています。
日本人は、断じてそのことを思い出さねばならない。
両国の未来と真の友好のために!
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