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日蓮大聖人・池田大作

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9 青年へのメッセージ  

「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)

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5  東洋文化の宣揚
 池田 次に、読書についておうかがいします。
 蒋先生に最も影響を与えた書物は何でしょうか。また、あとに続く二十一世紀の青年たちのために、読書について語ってください。
  魯迅先生の著作が、私に最も影響を与えています。
 とくに心に刻んでいる魯迅先生の言葉は、「自嘲」という詩にある「眉を横たえて冷ややかに千夫の指に対し、首をれて甘んじて嬬子の牛と為る」(多くの敵が批判しようと、眉をあげて冷然と立ち向かい、幼子のためには、頭をさげ、甘んじて牛となって、、ともに遊ぶ)との対句です。
 これには、魯迅先生の精神が満ちあふれでおり、私にとって深い含蓄のあるものです。
 また読書の大切さについてですが、「書物は人間の精神の食糧であり、人生の教科書である」と言えましょう。
 池田 ”ぺンの戦士”魯迅先生。私も、魯迅先生の著作から、多くの影響を受けました。また蒋先生が紹介してくださった対句は、私も大好きな一節です。
 初めて上海を訪問したさい、「魯迅故居こきょ」に立ち寄りました。そこには亡くなる二カ月前の手紙の一節が掲げてありました。
 「もし私が生きているととができるなら、もちろん私は学び続ける」と。
 命あるかぎり、学びぬいてみせる! その闘魂、執念が、私の胸を打ちました。
 次に、先生が仏教経典に関心をもたれた動機について、お聞かせください。
  大学の授業で、季羨林先生が、サンスクリットとパーリ語の仏教経典からテキストを選んで、私たちに講義されました。
 たとえば、『仏本生経』『法句経』『金光明経』および『根本説一切有部律』等です。それは、私が仏教経典を読んだ最初の段階でした。
 興味をもち始めたのは、サンスクリットとパーリ語を学んでからです。
 池田 一九九七年四月、蒋先生はわが創価大学の入学式に出席してくださった。ありがとうございました。また、一九九八年十月から十二月まで、創価大学の国際仏教学高等研究所に滞在され、共同研究に従事されました。
 教育の本義について、また今後の教育のあり方について、蒋先生はどうお考えでしょうか。
  私は、池田先生が教育事業の発展のために、全力をあげて偉大な貢献をしてこられたことに、心から敬服しています。
 人類史上、教育は間違いなく最も神聖な事業でした。中国の孔子が人々の尊敬を集め、ひいては聖人と呼ばれた理由は、孔子が、だれもが認める偉大な教育者であったからです。
 教育の根本的意義は、徳・智・才・識を兼備した優れた人材を育成することにあります。今後の教育がどうあるべきかについては、「学生を徳・智・才・識すべてにわたって、全面的に身につけた人材に育てあげることに努めるべきだ」と考えます。
 池田 おっしゃるとおりです。
 蒋先生は、人間のそなえるべき条件をすべてあげられました。高尚な倫理性、人生と社会の動向を洞察する智慧、自己に内在する才能の発揮、人類の遺産を学び取る旺盛な知識ーーまさに、「全体人間」です。
 私も、「徳・智・才・識」をすべてそなえた人間の教育をめざしております。
 さて、先生は、二十一世紀を「平和と生命の世紀」にするために、今、いちばん大切なものは何だとお考えでしょうか。
  最も重要なことは、東洋文化の精髄を宣揚していくことです。
 己れの欲せざる所を、人に施すこと勿かれ」(自分がしたくないとと、されたくないことを、人にもさせることなく、また、しかけるべきでもない)という孔子の言葉と生き方が、世界中あまねく人心に深く入っていくならば、世界は平和になっていくでしょう。
 そして人類共生が実現し、人類文明は、たえず繁栄と発展がもたらされるにちがいありません。
 池田 簡にして明なるご主張です。個人も、そして国家も、その一点を実行していくしか平和はありません。
 貴国の周思来総理が、そういう人格の指導者であられたと、私は思っています。

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