Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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あとがき
「人間と文化の虹の架け橋」趙文富(池田大作全集第112巻)
前後
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池田先生との対談は、これまで、一年ずつ、二度にわたり続けられました。最初の対談集は、ご承知のように、『希望の世紀へ宝の架け橋』と題して、二〇〇二年十一月に、徳間書店より発刊されました。この対談集の韓国語版も、韓国の連合ニュースより、『希望の世紀への挑戦』との書名で、二〇〇四年九月に発刊されました。
そして、二度目の対談は、第三文明社発行の教育月刊誌「灯台」に、二三年の九月号から、翌二〇〇四年の七月号にかけて連載されたのです。
構成は、全十一回で、「韓国から見た日本日本から見た韓国」「人間教育と大学の使命」、そして「『平和の文化』を築く」との三つの章を柱としております。
この度、この連載分をまとめて、補足整理し、徳間書店より、『人間と文化の虹の架け橋』と題して、単行本として出版される運びとなりました。
つねに戦争の恐怖に脅かされた二十世紀を経て、私自身、南北に分断された国家の歴史を担う知性の一人として、世界人類の平和を悲願とされ、世界的な平和運動を先導される池田先生を頼りにして、勇気を奮い起として対談を行わせていただいたように思います。
池田先生が対談の相手として、微力な私を選ばれたのは、私自身が冷戦構造の世界にあって、済州島で起こった「四・三事件」など、悲惨な犠牲を体験し、早くから平和を念願し、平和の必要性を痛感する人間であるということが、その理由でありましょう。
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いずれにしても、大変貴重な時間を割いていただき、長い時間をかけた池田先生と私との対談は、その心情的動機に、おいて、世界の平和を切に願うものでありました。
なかんずく、それは、平和を脅かす火種となりがちな韓半島の平和を起点とし、北東アジアの平和を基礎とする世界の平和であったのです。
これは、彼岸の灯を見るような、漠然たるただの望みに止まるものではありません。より具体的に、韓日の国民がカを合わせて築いていかなければならないことであります。
そのために、私たちは、両国の国民性や社会性のちがいなどを認識し、教育や文化の問題に取り組まねばならないと結論したのであります。
そのため、前回の対談集が、主に韓日の歴史的な背景を話題にしたのに対し、今回の対談集では、そういった問題を中心に取り上げる形になったのであります。
とは言いましでも、とうした観点を論じることは容易なことではなく、とくに私のような勉強不足の者には、分を越えるところが多々あり、池田先生にはもちろんのこと、読者の皆様にもご迷惑をかけるところが多くなったと思い、大変に恐縮している次第です。
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池田先生は、教育が人間性を本質的価値とし、この価値に沿って行われるならば、平和の源になると言われました。
池田先生は、「創価教育」を創設した牧口初代会長が「戦争を根本から無くす方途こそ教育」と言われたことや、「世は政治経済芸術の各分野を通じて、根本的の改革と進展を教育の力に
俟
ま
たんとする」(『牧口常三郎全集』8)といった言葉を紹介されるとともに、かつて語り合われたトインビー博士が「学問・教育の本質は、実利的な動機に基づくものではなく、宇宙の背後に存在する”精神的実在”との霊的な交わりを求めるととにある」(『二十一世紀への対話』本全集第3巻所収)と指摘されたお話も交えて、平和に対する教育の重要性を強調しておられます。
そして、私たちは、「『哲学の英知』も、『最先端技術の開発』も、結局は『人類の幸福と平和のための手段』にすぎない。大学には、このような人類の志向する幸福と平和をつねに追求しなければならない使命がある」という点で、意見の
一致を見たのであります。
このような教育によって、人類の平和をより着実に実現するためにも、まずお互いの心情的交流と理解による共感が大切です。まず両方の言語や文字の理解、そして文化の理解が、平和に向かう基本的な過程であります。
池田先生は、「文化はどこまでも、人間を幸福にし、社会を平和にするためにある」と言われ、教育のような「修行の『道』」も、「人間を根本にした『人間主義』『平和主義』を貫いて初めて、爛漫と咲き誇る」と語られました。
そして、私たちは、韓日の文化の共通点や相違点について意見を交わし、お互いの文化に見られる祖先の知恵などを論じ、日本、韓国、中国の文化の美しい共通点をもって、「共生の文化」の花を咲かせていけるよう協力し合うことを語り合いました。
このように教育や文化の本質的価値を平和との関係に求めていく哲学的構想を、池田先生は世界的に先導してこられましたが、私は対談が終わった後に、やっとその世界的な構想の内容に気づくようになりました。
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最後に、徳間書店により、私たちの対談が、再度、出版されるようになったことについて、光栄に存じ、池田先生をはじめ、対談を連載してくださった第三文明社にも、この場をお借りして、あらためて感謝の念を捧げます。
そして、徳間書店のご配慮に、感謝の真心を捧げるものでございます。
趙 文富
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