Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

2 中国文明の精神的遺産  

「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)

前後
2  「天人合一」と「依正不二」
  そうです。東洋の「天人合一」の思想、「民胞物与」(北宋時代、張載ちょうさいの「西銘せいめい」中の言葉。民を兄弟と見なし、万物を友とすべきとの意)の精神を実行してこそ、人類を救うことができるのです。さもなければ、大自然は、人類に対する報復をさらに強化し、人類の前途は、危ういものとなるでしょう。
 池田「天道と人道は、その根本で一致しており、人間は心や性の中に、天の性質、徳をそのままもち合わせている」とする「天人合一」論は、中国思想の人生論、宇宙論の根幹をなしています。
 一方、仏教では、大宇宙、大自然と人間生命との関係性を「依正不二」論として展開しております。
 前にも述べましたが(第五章)、「依報」としての環境と「正報」としての人間生命は、その根本において「不二」であり、そこから現象世界における相互依存の関連性が「而二」として顕在化してくるという哲理です。
 表現は異なりますが、大自然と人間との関係性を示す哲理は、「天人合一」論と同趣旨であります。
 そこで、ここでは、中国思想としての「天人合一」論と仏法思想の「依正不二」論を機軸に、東洋思想の精髄に光をあてたいと考えております。
  「天人合一」論は中国哲学史上、非常に重要な命題であることは言うまでもありません。とはいえ、「天人合一」への理解、解釈、説明には学者によってかなりの相違があり、学者間の理解の深さ、広さ、角度も必ずしも一致していません。
 もっとも、哲学史上の命題について、解釈が完全に一致しないのは当然のことなのですが。

1
2