Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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1 季羨林博士の業績
「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)
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経典成立時期の推定基準
池田
つまり、古いか新しいかを推定するための「目印」を発見されたわけですね。すばらしいご研究です。
要約すると、こう言えるでしょうか。
目印である「アオリスト」は、新しい層ーーいわゆる標準的な古典サンスクリットでは、あまり使われていない。古典サンスクリットというのは、大文法学者バーニニ(前五~前四世紀)と、その注釈家たちによって整備された言葉ですね。
一方、古い層、古い文体では、ほとんど唯一の過去時制であるかのごとく、非常に、ひんぱんに使われている。
季
おっしゃとおりです。
蒋
一九六年から六五年まで、私は幸いにも季先生のもとで、古典サンスクリット、仏教混淆サンスクリット、パーリ語を学ばせていただいたのですが、五年にわたる研鎖と長年の研究を通じて、私は、季先生の仏教混淆サンスクリットにおける偉大な研究成果に心から敬服しております。
季先生は、仏教経典の「アオリスト」に論及したさい、次のように指摘されています。
「一般的には、旧文体では、アオリストは数量的にはほとんど圧倒的な比率を占め、新文体では、その他の過去時制の形がこれに代わり、完了形が代わって用いられる場合が最も多く、過去分詞も少なくない」と。
池田
なるほど。そこで、「アオリスト」という「目印」を、この経典(『マーヴァストゥ』)にあてはめると、「アオリスト」が多く出てくる部分は、古典サンスクリットの影響が少ない「古い時代のもの」であると。そして、「新しい部分」は、古典サンスクリットの影響を受けて成立した。このことを、季先生が論証されたのですね。
蒋
そうです。そして、季先生のこの結論、法則は『マハーヴァストゥ』にあてはまるだけではなく、『法華経』にも完全にあてはまるものです。さまざまな梵文『法華経』の写本研究にもとづき、私は、自信をもって断言できます。
これらの季先生の結論は正しく、のちの学者が新しく発見された文献を使って検証したとしても、それに十分耐えうるものだと考えます。
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