Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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第3章 強さと優しさを育む
「21世紀への母と子を語る」(池田大作全集第62巻)
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母のありがたさを実感できる人は幸せ
勝本
私も、母を昨年(一九九七年)亡くしましたが、大曽根さんと同じように、私のことを最大に理解し、応援してくれたのが母でした。
私は二十八歳の時に、交通事故にあい、九死に一生を得た時がありました。車に乗せてもらい、土手の上を走っていた時、反対側の車と接触し、車が土手下に転落してしまったのです。
転がる車の中で、わずか数秒間のことだったと思いますが、パノラマのようにこれまでの人生を振り返っていたんです。そして、「先生の弟子として、何一つお応えできる戦いをしていない。こんなところで犬死にしてなるものか」との思いがこみあげ、“絶対に生きてみせる”と題目を唱えていました。
そのせいでしょうか、大怪我をしていたにもかかわらず、意識を失わずにすんだのです。
先生と奥様からも、白百合とリンドウの花をお見舞いにいただいて。「この花が枯れないうちに、退院しよう」と固く決意した私を、母は懸命に励ましながら、必死に看病してくれました。
当時は、父もリューマチを患い、入院していただけに、本当に心労も重なっていたと思います。母は、いつ休んでいるんだろうと……。
その時、初めて私は、母親のありがたさを、身にしみて感じることができました。
池田
どれほど、母親の愛情がありがたいか――それが実感できる人は、幸せです。
人間は、一人で成長できるものではない。親をはじめとして、数え切れないほどの多くの人たちの支え、励ましがあればこそ、大成できるのです。
そのことを、絶対に忘れてはならない。感謝の心がある人には、常に喜びがあり、歓喜がある。幸福の軌道に乗っていけるのです。
勝本
私の結婚が決まった時、先生が、母を呼んでくださったことがありました。
母は、呼んでいただいたことを本当にありがたいと感謝し、恐縮していました。先生は「いい娘さんに育ててくれて、ありがとう」と、母に優しく声をかけてくださって……。私も母も、胸がいっぱいになりました。
池田
お二人が今日、広布の庭で思う存分、戦えるのも、お母さんの陰の支え、祈りがあったことを忘れてはならないのです。
その深い愛情をかみしめながら、今度は、自分たちが、その思いをお子さんに、そして多くの未来部員たちに注いであげるのです。
忍耐強く徹すれば、後で子どもが立派に成長した時、後継の人材が育った時に、「本当によかった」と心から思えるものなのです。
戸田先生はよく、「組織は偉大な勇者をつくるか、さもなくば、幼稚な愚者をつくる」とおっしゃっていたが、子育てもまったく同じです。中心者の一念であり、信心です。家庭でいえば、母親の一念がどう定まっているかです。
私の長い信仰歴から見て、母親がしっかりしている家庭は、子どもにも信心をしっかり教え、世のため人のために行動できるようになっている。母親で決まるのです。だからといって、何も特別なことをしなければならないというわけではありません。
母親が自信をもって、生き生きと人生を歩んでいく。希望に向かって、朗らかに成長していく――。
その輝く姿こそが、子どもに生きる原動力を与え、子どものすばらしい可能性を育む“大地”となっていくのです。
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