Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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第5章 勇気と友情を育む
「21世紀への母と子を語る」(池田大作全集第62巻)
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「人間を育てる」ことこそ最高に尊い
池田
うれしいことです。
高校生の年代というのは、人生のなかでも大事な時期です。
私は、一人残らず、幸福な人生の軌道を歩んでほしかった。そのためにも、崩れない金の思い出をつくってあげたかったのです。
以来、今まで皆の成長を、じっと見守ってきました。
それと子どもたちには、常に身近な、達成可能な目標を示してあげることが大事です。家庭においても、そうです。
橋口
私は二十代の時に、女子高等部長を務めさせていただきました。就任まもない頃、高等部員が、突然、私を訪ねてきて、「今度、地域で高等部の総会を開きます。この招待状を、ぜひ池田先生にお届けください」と、手作りの招待状を持ってきたのです。
たまたまその時、先生が学会本部の食堂におられると聞いたので、どうしようかな、と少し迷ったのですが、勇気を出して、職員と食事をしながら懇談・指導をされる先生に直接お渡ししました。
先生は、「ありがたいね。真心がうれしいね」と言われ、手作りの、ささやかな招待状を、いとおしむように手でさすられました。そして、「スケジュールがいっぱいで、あいにく出席はできませんが」と、ただちにその高校生への励ましの伝言と激励を託してくださったのです。
世界各国の指導者と対話を展開される、激務の先生が、一人の高校生にも誠心誠意、応えられる姿に、胸が熱くなりました。
池田
人を育てるのは、楽なことではありません。ともすれば、大変な疲労をともなうこともある。
しかし、命を削るような労苦なくして、本当に人を育てることなど、できません。日蓮大聖人は「
命限り有り惜む可からず
」と仰せです。
命には限りがある。惜しんではならない。だからこそ、何に命を使うかが重要なのです。
「人間を育てる」ことこそ、最高に尊いことではないだろうか。
吹浦
私は大学を卒業してから、長年の夢であった、小学校の教師になりましたが、本当にやりがいのある、すばらしい仕事でした。
四年間、同じクラスを担当したのですが、その時の経験は、自分の人生にとって、とても大きい財産になっています。
教え子たちとは、二〇〇一年五月五日に、再会することを約束しているのです。
池田
すばらしいことだね。
橋口さんのご主人も、創価小学校の先生でしたね。
橋口
はい。そうです。使命に燃えて働かせていただいています。
池田
私は今、「命を惜しまず」教育に情熱を注いでいこうと思っています。人生最終の事業を「教育」と決めているからです。
私は、晩年の戸田先生の命をかけた闘争を思い出します。
あれは逝去の前年、先生はすでに、立ち上がれないほど衰弱しておられた。
それでも先生は、同志の待つ広島へ何としても行こうとされていた。先生の命を危ぶみ、必死にお止めする私を、先生は叱咤された。
「行く、行かなければならんのだ!」
「同志が待っている。……死んでも俺を行かせてくれ。死んだら、あとはみんなで仲よくやってゆけ。死なずに帰ったなら、新たな決意で新たな組織を創ろう……」
最後の最後まで、命をふりしぼって同志に尽くそうとした恩師の姿を、私は忘れることはできません。
人生は、限りある時間との戦いです。今の私は、時間と戦いながら、人材育成に命を注いでいるのです。
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