Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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幼き日の武蔵野
詩歌・贈言「青年の譜」「広宣の詩」(池田大作全集第39巻)
前後
1
香りある武蔵野は
私の
故郷
ふるさと
であり
私の生命だ
幼きころ
父につれられ
また 母とともに来たりし思い出の地
また 人生の師の下に
ひとたび また ふたたびと
人生練磨の
歴史を綴った 武蔵野
あざやかに目にしみいるような
連翹
れんぎょう
の花
緑なす麦畑の行列
ふっくら咲く泰山木の白き花
そよ風にゆれゆく竹林
そして清冽な流れの玉川上水
高尾の浅川はやがて多摩川となり
母、なる姿して満々と静かに流れゆく
川辺に連なる
葦
よし
の上に
蝶と蝶とが舞い遊ぶ
あの山 この丘の
初夏の木々の若芽は
銀色金色に眩しく輝く
2
古に
戦国の武士たちが
再起を祈って耕し
動いたのであろうか
そこには
悔し涙があったにちがいない
この生命の大地につづく
雑木林のみごとな色合い
夕焼け小焼けの
薄靄
うすもや
に
雁が仲よく飛びさる
道端には
優雅で優しい萩のうすむらさき
秋の渓流に
錦あやなす紅葉の葉が
そっと別れて 小舟のごとく
いずことなく去っていった
白塀に固まれた旧家のたたずまい
そして
欅
けやき
の木々に囲まれた白き蔵
わらぶき屋根の
農家の庭は広い
その軒の下に 行儀よく
干し柿が並び
干し芋がならんでいる
天は広く そして青く
白雲しばし 悠々たり
道ゆく人びと
絣
かすり
の着物多く
純朴な瞳が
何かを
希
ねが
って光る
3
やがて
青春の時来たり
国木田独歩の
『武蔵野』の書を読みふけり
さらに また さらに
愛する武蔵野の香りは
私の生命に
深く そして 広く ひろがった
私は
武蔵野の天地と
武蔵野の香りと
武蔵野の名と
武蔵野の人びとが
たまらなく 大好きである
この幼き日の夢を
私は
武蔵野を愛する心とともに
生涯にわたって
忘れることはできない
それから
数十年の風雪とともに
春夏と秋冬の 時移った
今や
この地に
二十万になんなんとする地涌の友が
桜の花の冠に囲まれ
妙法を語り
広布に旭日が 輝く
4
さらに
厳たる 立川の法城をはじめとして
あまたの地に
その城は築かれり
時移り
さらに時すすみて
この大地に
さらなる地涌の友と
地涌の城が
陣列を組みゆく姿を夢にえがくと
私は
心うれしく
心躍る
(1982.11.20)
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