Nichiren・Ikeda
Search & Study
8 いちばん近い恒星まで何年かかる?
池田 さっき、この銀河系で「自分で光っている星(恒星)は数千億個と言ったが、そのうち、肉眼で見えて、太陽系からいちばん近いのは、有名な「ケンタウルス座のα星」です。北半球では見えにくいんだが。
「α星」までは、たしか四光年以上ある(四・四光年)。「光年」というのは、光が一年かかって進む距離だから、光の速さで四年以上かかるわけです。
太陽を「サッカーボール」にして、東京の真ん中に置く。すると、この星は、どのへんになるだろう? 何と「α星」は、オーストラリアにあることになる。
―― もしも、そこに宇宙人がいたとしても、とても会いには行けませんね。
(「一時間で地球を一周できるロケット」で行っても、約十二万年かかる)
かりに電波で話せたとしても、こちらの「こんにちは」という声が届くのに四年以上かかるわけですね。その返事でまた四年。
池田 それでも、宇宙ではまだ「お隣さん」です。
このさいだから、もっと先まで考えてみよう。
私たちの太陽系は、天の川銀河のなかにある。その天の川銀河は、アンドロメダ銀河や他の銀河といっしょに、「局所銀河群」という「銀河の集団」をつくっています。これが、ほかの「銀河の集団」といっしょに、「おとめ座超銀河団(局所超銀河団)」という、もっと大きなかたまりをつくっている。
―― 「超銀河団」ですか……。
池田 そういう「超銀河団」が、いくつも集まって、この「宇宙」になっている。だから、もしも宇宙郵便局があって、だれかが手紙をくれるとすると、住所は、どうなるかな?
―― ええっと、おとめ座超銀河団「国」―局所銀河群「県」―天の川銀河「市(郡)―太陽系「町(村)でしょうか。
池田 地球は、太陽から三番目の惑星だから、「三丁目」地球、日本「番地」。(笑い)
―― 地球は、小さな小さな「村」ですらないのですね。
とすると、地上で戦争しているなんて、本当に「お隣どうしのけんか」ですね。
9 「宇宙からは国境なんか見えない」
地球は、かけがえのない「共通の家」
池田 宇宙の話はおもしろくて、きりがないんだが、私がいちばん言いたいことは、みなさんは「地球人」として「地球市民」として生きてほしいということです。
私は、たくさんの宇宙飛行士に会ってきました。だれもが、宇宙から地球を見ると、その美しさに感動すると言っていた。「かけがえのない、ふるさと」だと実感するそうだ。「宇宙からは、人間が引いた国境なんか見えない」とも言われていた。
そして、美しいと同時に、地球が人間によって、ものすごく汚染されているのが、宇宙から見ると、よくわかると言っていました。「本当に悲しい」と嘆いていた。
だから、二十一世紀は、人類みんなが「同じ地球市民なんだ」という意識にならなければ大変です。みんなで、「共通の家」である地球を大事に守らなければならない。
10 「科学」と「詩」
池田 そもそも、だれもが「宇宙市民」です。科学的に見ても、仏法的に見ても。
今の宇宙論では、多くの人が、宇宙は百五十億年から二百億年前の大爆発でできたと考えている。
―― 「ビッグバン」説ですね。
池田 だから、宇宙の全部が「もと」は、一つです。星も、人も、鳥も、花も、石も、雲も、いっさいが、同じ一つの爆発から生まれた「きょうだい」ということになる。
―― 詩的ですね!
池田 科学と詩は、一致するのです。もちろん、「ビッグバン」説には異論もある。また、初めの爆発から、今もどんどん膨張しているが、そのうち、また縮まり始めるという人もいる。縮まって、「それで終わり」と考える人もいるし、また膨張を始めて「膨張と収縮を繰り返す」と考える人もいる。それから、こうやって膨張している宇宙自体が、もっと大きな宇宙の「泡」の一つのようなものかもしれないという人もいる。
真実は将来、みんながさらに探究してほしい。深い哲学をもっていれば、ものを「見る目」が変わる。見る目が変われば、宇宙の「見え方」も変わるでしょう。