Nichiren・Ikeda
Search & Study
1 夫人の弟宛て
金ノ差シ入レタノミマス。
一銭モナクナッテ、非常ニ不自由ヲシテイマス。Cサソニ、社二、マタ、台町へ二本モタノンダガ差シ入レガナイ。キットI子（夫人）ガ留守カ、何カ大変ガアルダロウト心配シテイル。
コノ手紙ツキ次第、君ノ手元ノ金何程デモ至急差シ入レタノム。
兄ノ留守中、シッカリ丈夫デタノミマス。
差シ入レ、ソノ他ノ依頼事、何所へ手紙ヲ出シタラ確実ニ届クカ知ラシテ下サイ。台町ニハオラヌラシイガ。君ガ多忙ナラO子ニデモ書カシテ。
一 シャツ冬ノモノ今一枚タノム。（今一枚キリデアル）
二 ズボン差シ入レ屋二準備シタラ、取リカエノハガキ下サイ。
三 チリ紙タノム。
四 奥川書房ノ三階二、一冊五円ノ本デ売レナクナッタノガニ、三百冊ガアッタハズ、Q君ニ話シテ差シ入レテ下サイ。
五 滋養剤卜読ム物手二入ッタラタノム。
（昭和二十年一月十一日）
2 夫人宛て
一 オ金ヲスマヌガ三十円ダケ差シ入レタノミマス。
二 親子ナグサメ合ッテ、私ノモノヲ売ルナリシテ暮ラシテ下サイ。
三 身ガラ保証金ノ支度モ、ベンゴ士ニ渡シテオイテ下サイ。
四 N君、F君ニコノ手紙ヲ見セテ、一切ヲタノミナサイ。
（昭和二十年二月十四日）
3 夫人の父上宛て
一 空襲ノコトデ、日夜心配シドオシテオリマス。商事モ秀英社モ 四海書房モ 六芸社モ、全部ナクナッタト思イマス。ドウカ面会二来テ下サイ。私ガイナクテハドウニモナリマスマイガ、セメテ「生活」ノ相談デモウケタイト思イマス。
二 毎度デスミマセヌガ、オ金ヲ百円調達シテ両全会へ二十円、私ノトコロヘハ十円差シ入レテ下サイ。
三 急二衰弱ガ加ワッテマイリマシタ。滋養剤ガ手二入リマセンカ。牧口先生ノトコロガ恋シイ様ナ気持チニ襲ワレガチデス。セメテ「差シ入レ弁当」卜、当所ノ滋養剤ヲ購入シタイト思イマス。元気ニナルカ知ラント思ッテドウカ、両全会卜差シ入レ金イソイデ下サイ。
四 オ金ノ不自由ハ、大変困リマス。
五 少シノ人情ニモ涙モロクナリマシタ。
六 週刊朝日、毎日ナリトセメテ入リマセヌカ。
（昭和二十年三月二十三日）
☆終戦の年（この年の七月に拘置所を出た）の手紙である。夫人をはじめ夫人の父上、弟は、毎日差し入れを持って巣鴨の拘置所まで出かけるのだが、空襲のために行きつくことができなかった。
4 夫人の弟宛て
一 面会二来テ下サイ。オ父サンデモI子（夫人）デモ。君デモ。生活ノコトノ相談ニ応ジタイ。空襲ノ関係、会社ノ被害モ聞イテ、家庭、生活ヲ考エタイ。
日小ノ金庫ニ、国庫債券ヲニ千円入レテオイタガ被害ガナカッタラ、E君ニ出シテモラッテコレヲ売ッテ、使ッテ下サイ。アルカ無イカ、ワカラヌガ。
二 宅下ゲハ、保護会カラデキナクナリマシタ。是非、面会二来テ、ソノ節、宅下ゲモノヲモッテ行ッテ下サイ。先日、判事ニハ私カラモ願ッテオキマシタ。滝沢太助判事殿ニオ願イシテ、ソノ節、綿入レ、セル、足袋ヲ返シテオキマス。単衣二枚入レテ下サイ。
三 １ 三銭ノ切手十枚、五銭五枚。2 チリ紙。3 敷布。以上至急タノミマス。
四 時勢ノ一大事ノ為ニ、皆イナイト見エテ、ダレカラモ差シ入レガナイ。君ノ手元ノ金ナリ、マタ、君ガ都合悪カッタラ、手持チノ債券ナリ”日小”ノ債券ナリヲ売ッテ、コレモ至急差シ入レテ下サイ。三月末、一銭ナシデ困ッテオリマス。イクラデモヨロシイ。
五 滋養剤ヲ是非サガシテクレ給エ。疲労シキッテイル。
六 本 １、”日小”ノ二階ノ義信ノイタ部屋二高等数学講義ガアル。ソノウチ、微分、積分学、数学史ノ二冊。2、台町二世界大衆文芸集ガアル。三銃士、水滸伝ソノ他。一度読ンダモノデ結構、差シ入レテ下サイ。
（昭和二十年五月二日）
