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日蓮大聖人・池田大作

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エンフバヤル首相 新生モンゴルの文人政治家

随筆 世界交友録Ⅲ(池田大作全集第124巻)

前後
8  ”脱工業化”のモデルづくりに挑戦
 2OOO年の夏、新首相は、政府の「行動計画」の筆頭に「教育」をあげた。
 ちなみに、一九九二年の筆頭は「経済」であり、九六年は「行政」であった。
 いよいよ、「モンゴルの心」が光る人材立国への旅が始まったのだと期待したい。
 それは、自然とともに生きるモンゴルの人々の「生命愛」が、経済発展と調和しながら、二十一世紀の「脱工業化社会」の一つのモデルを築けるかどうかという挑戦である。
 軍事力の時代は終わった。経済力だけの時代も、とうに終わっている。
 もちろん課題は多いが、私はモンゴルの挑戦に注目している。
 私の耳朶には、あの日、首相が教えてくださったチンギス・ハーンの言葉」が残っている。
 「わが(小さな)数尺の体は滅びるもよし。わが大いなる国は衰えることなかれ」
 わが身一身のことなど、どうでもよい! 社会の遠き将来のために、死力を尽くすのみ!
 この心が、リーダーにあるかぎり、どんな困難も乗り越えていけるにちがいない。
 「モンゴル」とは「勇敢な人」を意味するとも言われる。
 風強く、光まぶしく、青空が、切りとられることなく、どこまでもどこまでも広がっているモンゴル。
 〈草洋〉――青き草の大海原が、目の届く果ての果てまで、さえぎるものなく広がっているモンゴル。
 悠久の天地そのものを「われらが住まい」として、生涯を旅人として生き、旅人として天に帰ってゆく人々。
 人類が行き詰まり、途方に暮れて立ち往生してしまったとき、この国が、地平線のかなたから駆けつけて救ってくれる情景が目に浮かぶ。
 「よし、わかった! 力を貸すよ。『人間らしく生きる』っていうのは、こんなに楽しいんだって、教えてやるよ!」と。

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