Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

フレッド・ホイノレ卿 現代天文学のパイオニア

随筆 世界交友録Ⅲ(池田大作全集第124巻)

前後
6  「祈り」は宇宙との対話
 ホイル卿は、真理の高峰によじ登り続けたが、実際の山登りも大好きだった。スコットランドの千メートル級の山、二百八十峰を、すべて踏破したそうである。
 山頂に立って、卿は、何を思っておられたのだろう。
 大空と語りあい、星々と語りあいながら、無辺にして永劫の宇宙のなかで、われわれ人類が、いずこより来り、いずこへ行くのかを思索しておられたのだろうか。
 お会いしたあの日、卿は、祈りということについて、それは「宇宙との対話」ではないかと言っておられた。
 「現代では、祈りの力を、そのまま信じることは簡単ではありません。しかし私は、祈りの本質とは『宇宙へのメッセージ』ではないかと思うのです。果てしなき宇宙に向かって、自分のメッセージを送り、そして宇宙の声に耳を澄まして、その返事を聴くということです」
 仏法の祈りとは、「内なる宇宙」を「外なる宇宙」と交流させる挑戦とも言える。宇宙につつまれている人間が、宇宙を自己の一念の中につつみ返そうとする行為とも言えよう。
 二〇〇一年八月二十日、「真理の旅人」は安らかに逝かれた。八十六歳だった。
 大好きな宇宙空聞に、ちょっとの間、戻られたわけである。
 そろそろ、どこかの星に生まれてこられるころかもしれない。
 その星でもふたたび、宇宙と生命の研究をされるのだろうか。

1
6