Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

エクトル・ナパロ教育大臣 教育改革でベネズエラの再建めざす

随筆 世界交友録Ⅲ(池田大作全集第124巻)

前後
3  「黄金の大臣」の人間愛
 南米解放の父、シモン・ポリパルは言った。”教育が羽ばたけば、国家は羽ばたく”(ホセ・ルイス・サルセド=パスタルド『シモン・ボリーバル』水野一監訳、春秋社、参照)。大臣は、彼の名を冠した国家計画「ボリパル2000」に挑戦を開始した。
 二千以上の校舎の修復。百五十万人の教育研修の計画。貧しい児童のために「無償の給食」を倍増。文具や制服の支給制度の改善――等。
 何のため――この「心の原点」を、もっているから強靭だ。エネルギーが尽きない。その手腕を、黄金の大臣」と呼んで敬愛している。その人気の秘密は、誠実で、少しもいばらない人柄にもあるようだ。
 就任したばかりのころ。大学で大学院生の論文検討会議があった。大臣は審議員の一人。だれもが、この日は欠席と思った。ところが、いつものように時間どおりに現れ、手には、みんなのためのお菓子の袋があった。
 ある時には、朝六時に学生を自宅に招き、登庁する車の中で、学生の論文の相談にのったことも。
 来日のさいも、長旅のうえに、フライトが遅れて急にマイアミで一泊したりと、お疲れのはずが、そんなそぶりは微塵も見せず、かえって出迎えの人に優しく気をつかう大臣ご夫妻であった。広島では、ベネズエラからの留学生四人に、わざわざ会って励ましておられた。
 教育者にとって、いちばん大切な「人間への愛情」をもっておられる大臣であった。太陽のように明るく、温かく、仲の良い、幸せそうなご夫妻であった。(一九九九年七月に東京で会談)
 その振る舞いは、ベネズエラの「万能の天才」アンドレス・ベージョ先生の言葉を思い出させた。
 「教育とは『子どもたちの頭を知識で一杯にする』ことではありません」
 「教育とは、心を美徳で飾り、人間を幸せにするためにあるのです」

1
3