Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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サドーヴニチィ モスクワ大学総長 限りない創造力の開拓を

随筆 世界交友録Ⅲ(池田大作全集第124巻)

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5  大学は「二十一世紀への最も強い懸け橋」
 ロシアは、まだ混沌の中にあるが、「だからこそ、今、人間の限りない創造力を開拓することが必要なのです」と、サ
 ドーヴニチィ総長は言う。
 「二十世紀から二十一世紀へと懸ける、いちばん強い橋は大学です。大学が二十一世紀の人材をつくるのですから」とも。
 ソ連の崩壊という大激動期に総長となり、大変な財政難のなか、関係各所にみずから頭を下げて、奔走した。「教育を優先せずして国家の未来はない」ことを、繰り返し説得しなければならなかった。
 「私がいるかぎりは、学生が安心して勉強できるようにしたい」という決心であられた。偉い方である。ある年の総長室での面談は、二千回にもなった。
 高等教育にも商業主義の波が押し寄せるなか、学問の光を守り、「人間性に富んだ、心の清らかな人を育てたい。『人間的な社会』へと発展させられる人材を育てたい」と奮闘しておられる。
 その努力に対し、フランスから「功労勲章」が贈られた。これもまた、フランスの「開かれた精神」であろう。
 何年か前、クリントン米大統領とモスクワ市民との語らいで、モスクワ大学の女子学生が言っていた。「ロシアには、大いなる精神の力が秘められています。近い将来、必ず、世界の文化的な中心になっていくと信じています」と。
 傲慢ではなく、苦難の峰を乗り越えて、かなたに人間文化の都を創造しようという、力強い「希望」である。
 そういう気概をもっ学生が今、日本にどれくらいいるだろうか。

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