Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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ハインリッヒ・バルト博士 学生・研究者を支援する「アデナウアー財団」設立

随筆 世界交友録Ⅲ(池田大作全集第124巻)

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4  「宗教なき社会は危険」
 「現代は大きな”変革の時代”です。明日は、どうなるのか。きょう、何をすべきなのか。だれもが、とまどっています」
 そう語るバルト博士は、哲学者の眼光であった。
 「”変革の時代”は、世界を”カオス(混沌)の時代”に導くかもしれません。宗教など必要でないという『世俗化された社会』には、その危険性が大きい。今、必要なのは『宗教』そして『精神』の再評価だと思います。これこそ、人類が直面している最も大きな課題です」
 一九九〇年春、東京での語らいであった。前年に、あの「ベルリンの壁」が壊れていた。
 歴史の大転換期にあって、博士が見つめていたのは、表面の変化ではなく、「歴史の底流」をつくる人間精神の中身だったのである。
 共産主義の破綻についても、経済システムの問題ではなく、その体制が「真実への冒瀆」のうえに築かれていたからだと見ておられた。
 「日本もドイツも経済力は巨大ですが、『精神』と『文化』の脈動がなければ、経済の力さえ無意味となりますね」――博士の憂慮は、少なくとも日本では的中しているのではないだろうか。
 こんな”賢者バルト博士”のSGIへの励ましは、私どもにとって、じつに力強い声である。
 「急激な変化を前に、多くの人々は、なすすべなく停滞しています。しかし皆さまは、まず心の中で、この”停滞”と戦い、人に勇気と確信を与えつつ、”前進”しておられる。私は敬意を表します!」

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