Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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ジョン・モンゴメリ一博士 広島の復興に尽力したアメリカの政治学者

随筆 世界交友録Ⅲ(池田大作全集第124巻)

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3  平和へ「英知のネットワーク」作り
 気取らない人である。礼儀正しいが、時に、がらっぱちなまでに、あけっぴろげである。
 竹を割ったような性格。それでいて、こまやかな心づかいのできる人。親切、気さく、ユーモア、屈託のない笑い。
 頭脳の回転の速さは天下一品であり、ぐいぐいと本質に迫っていく迫力がある。
 不正に対しては、周囲がびっくりするほど大声で怒り、落ち込んでいる人がいれば、そっと励まさずにいられない。趣味もテニス、水泳、音楽と幅広く、ヴィオラの演奏は玄人はだし。
 要するに博士は「人間」そのものなのだ。
 「人間が好き」なのだ。
 だから、皆の良い点を引きだせる。意見が対立し、紛糾している場合でも、博士が来ると不思議に混乱が収まってしまうという。人々を「協力」させていく名人である。
 私は、博士に、アメリカ創価大学「環太平洋平和・文化研究センター」の所長就任をお願いした(1990年12月)。「英知のネットワーク」を作るのに、これほど、うってつけの方はいない。
 私心のない方であり、精魂こめてセンターを育ててくださっている。
 こんなことがあった。
 1992年の秋、センターが、タイのチュラポーン研究所と協力し、国際環境セミナーを開くことになった。博士をはじめ代表数人の参加が決まった。しかし、博士の住むボストンからバンコクまでは、飛行機で二十時間。
 創価大学のスタッフは考えた。「いくら博士がお元気だからといって、あのお年(当時七十二歳)で、この旅は過酷だ。ファースト・クラスの席で行っていただきたいが、予算がない。せめてビジネス・クラスを使っていただこう」
 ところが博士は、ご自分でわざわざ、全員の航空券を、いちばん安いエコノミークラスで取って来られた。
 「センターの研究費は、大勢の市民の真心に支えられている。それを思うと、大事に大事にしなくちゃいけない。少しもムダづかいしちゃいけない」
 恐縮するスタッフに「だいたい、飛行機なんていうのは、着けばいいんだからね。違うかね?」。
 こう言って、いつものように茶目っけたっぷりに笑う博士であった。

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