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日蓮大聖人・池田大作

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新任大幹部面接 純真に信心に励もう

1967.2.26 「池田大作全集」第3巻

前後
1  ほとんど私が存じている方々であり、まことに心強い最高幹部の任命式であると喜んでおります。約二十年間、同志、先輩、そして後輩の、生活のうえに現れた現象、また本人が成長していく人間革命の実態等々を、私は私なりに見てきたつもりです。
 たとえば、KとNという二人の同志がおりました。Kは中堅幹部で、戸田前会長も期待をかけておりました。しかし要領がよく、車などに乗ってうぬぼれており、先輩を軽して、自分の成長を考えず、惰性に流れていました。「学会のことはなんでもわかった。信心は自分のほうがよく知っている」という増上慢の姿であったわけです。その結果は、しだいに生活も落ちぶれ、やっと信心に目覚めて、最近、中堅幹部に戻っております。その間、どれほど多くの人がKを尊敬していたために学会に対し偏見をいだき、道を踏み誤り、苦しんだかしれません。
 それに対して、Nという人は、最初は、長年にわたって、埋もれた立ち場で不遇な境遇におりました。しかし、信心があり、非常にまじめで、学会を大事にし、戸田前会長を心から慕っておりました。一年ごとにKとNとの差は開き、やがて天地雲泥の差がついてきてしまった。いまではNは、総務級の人材で、私が公私共に信頼し、後世を託していける人材の一人に成長しております。
 戸田前会長はKを信頼されていました。しかし、私はそばにいて、戸田前会長が、心から信頼されていたわけではなかったことを知っております。私も初めのうちは信頼していたけれども、どうも腹黒い。長い信仰経歴をもっているから安心できるようであるが、おかしいと思っておりました。ところが、戸田前会長が亡くなったあとに、まえまえから学会を利用しようといだいていた魂胆が明確に出て、結局は学会のなかにいられなくなってしまったのです。
 なぜ私は、そのようなことを申し上げるかというと、皆さん方は、長い信仰を続けており、最初に申し上げたとおり、私がほとんど知っている方ばかりです。当然、後輩の人たちは、尊敬しきっていると思います。したがって、幹部である皆さんは善知識でなくてはならない。善知識というのは、師弟の関係ではないが、他の人たちを正しい信仰に導いていくべき存在の人です。反対に、悪知識は他の人の信仰を妨害する魔の存在です。自分本位に振舞い、純粋な後輩を惑わしていくような幹部は悪知識です。後輩の信心をどこまでも伸ばしていける幹部こそ善知識です。皆さん方は後輩の人たちが、安心しきって相談していける幹部になっていただきたいのであります。どうか、これからも、その精神を忘れずに進んでください。
2  次に、幹部は自信をもって進んでいただきたい。先輩が、皆さん方を注意する場合もあると思う。しかし、それは御書に照らしてみれば、自分自身の信心の向上のための激励であります。先輩が皆さん方を苦しめて、成長を止めるために注意するわけでは決してない。全部、自分自身が不注意であった点、気がつかない欠点、元品の無明等等について注意し、大きく目を開かせてくれているのだと、自覚していっていただきたいのであります。したがって、どんな場合でも、自信をもって信心し、後輩のめんどうをみ、戦っていっていただきたい。自信をもつといっても、決してむずかしく考える必要はありません。信心は強盛でなければなりませんが、皆さん方は、大幹部として信心の蓄積された力を、すでにもっています。あとは常識豊かに、指導していけばよいのです。特別に深い仏法哲学を知らないから、自信をもって指導できないなどということはありません。
 「一切の法は皆是れ仏法なり」また「法華を識る者は世法を得可きか」と御書にあります。信心の二字に、一切が含まれており、蓄積された信心の力のうえに、常識豊かに指導していけば、それで決して間違ってはいない。それを確信しきっていっていただきたい。
 注意しなければならないことは、幹部になると、周囲の人たちから大事にされ、たいして自分に力がないのにうぬぼれて、敗北への一歩になってしまうこうとです。決して、人のおだてに乗ってはいけない。あくまでも後輩に対しては、公平にめんどうをみ、人事を考えていっていただきたい。お世辞に左右されて、全体観を忘れるようなことがあれば退転です。また、幹部になればなるほど、責任は大きく、それだけよけいに活動しなければならない。当然、いままで以上に費用もかかるでしょう。他の世界では、偉くなれば昇給したり、特典があったりするのが普通ですが、学会の場合は逆です。しかし、変毒為薬であり、煩悩即菩提です。幹部になれば大変ですが、それだけ御本尊の功徳も大きいことを確信しきっていこうではありませんか。どうか、生活力、経済力をしっかりもって、リズム正しい生活を行ない、かりそめにも、会員から後ろ指をさされるような金銭の貸借があったり、批判されるような生活上の欠陥をつくってはなりません。それで一生を棒にふるようなことは、断じてしないでいただきたいのであります。
 決して派手に振舞う必要はない。自家用車に乗ったり、立派な洋服で着飾ったりして、生活を苦しめる必要もありません。ありのままに、マイペースで、長期戦に臨む決心で、たんたんたる信仰即生活をしていっていただきたい。そして、同志や後輩が、裕福になり、発展していくことを、心から喜んでいける自分になってください。後輩を指導し育てた先輩に功徳が燦然と輝かないわけはありません。あせらずに、忍耐強く、長い長い一生の戦いを進めていただきたい。
3  しかし、日々、月々、年々に向上していかなければ魔がはいります。退転になってしまう。特に婦人部の方々は、生活をしっかり守りながら、楽しい、力強い、男性に負けない最高幹部に育っていただきたいのであります。この十年、二十年のあいだ、皆さん方婦人部の模範として戦ってきたのは、本部婦人部長を中心にした、本部副婦人部長であります。みんな信心も人格も立派に確立しています。この後輩の姿をいつまでも鏡として、それに劣らない、学会の婦人部幹部に成長していただきたい。それでこそ、男性の戦いを推進し、お子さんを立派に育てる婦人部であり、また、それが女子部の大きな成長の模範となっていくことを知っていただきたい。
 お互いに、大幹部は、御本尊のもとに、広宣流布を目指して兄弟以上に仲のよい同志でありたい。尊敬しあい、なんでも語り合い、守り合っていける同志であり、
 兄弟であっていただきたい。以上申し上げまして、私の激励とさせていただきます。

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