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日蓮大聖人・池田大作

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学生部・高等部・中等部・少年部合同部員… 諸君こそ令法久住の人材に育て

1967.1.3 「池田大作全集」第3巻

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1  まず、諸君の成長を祝して、新年明けましておめでとうと申し上げます。(拍手)
 いま、世界の動向を決定していく、重要な国の一つとして隣の中国があります。現在その中国において、諸君と同じ年代の紅衛兵が、革命のために、学業を捨てて、犠牲になって戦っています。もし中国に大哲学があるならば、権力者が、未来を託すべき青少年を、そのように政争の道具として使うはずはありません。これは結局、思想の行き詰まりのあらわれであると考えられるのです。
 私は、創価学会の学生部、高等部、中等部、そして少年部の諸君に対して、広宣流布のためへの前進は念願するけれども、諸君を権力のために犠牲にすることは絶対にいたしません。私は、むしろ、青少年を犠牲にしたり、道具にしたり、足げにするような日本の為政者や、権力者と戦っていく決意です。諸君が将来、青少年を指導すべき立ち場になっても、その決意だけは忘れないで前進していっていただきたいのであります。(拍手)
2  創価学会に対しては、いままで種々の批判がありました。その批判は、残念ながら、学会の本質、また王仏冥合という人類待望の理念を知らない批判であります。また、日本の現状は、無責任時代といわれるごとく、自己の信念、確信なくして、他人の批判をしていく風潮があります。したがって、無責任な学会批判があるのも不思議ではない。日蓮大聖人も、広宣流布の途上においては「行解既に勤めぬれば三障四魔紛然として競い起る」と申され、私は、その御金言どおりの現証であると、かえって喜んできました。しかし、時代は刻々と移り変わっていきます。力のない、定見のない指導者たちが、一千万人の地涌の菩薩をいつまでも批判し愚弄しようとしても、反対に自身を滅ぼし、民衆から笑われていく時代にはいっていることに気付かねばならないと思うのであります。(拍手)
 私のモットーは「真実は最大の弁明なり」ということです。大聖人の仏法に間違いはなく、一千万人の人が幸福になった実証も見ております。学会が批判をうける理由はなにもない。したがって、これからも、真実一途に、堂堂たる学会の指揮をとっていく決心であります。(拍手)
 日蓮正宗創価学会の隆々たる大発展は、日本の安泰と世界平和への開幕になっていく。しかしそのためには令法久住の人、大正法を厳護し、流布していく人が、続々と出なくてはなりません。もし、正法を流布する伝持の人がいなかったならば、広宣流布は達成できない。それどころか、邪智謗法の者が正法を押え、五老僧のごとき者が出現するならば、仏法に重大な誤りが生じてしまう。ゆえに、学生部、高等部、中等部、少年部の諸君は、未来を一切決していく重大な使命を有するものであり、その若き地涌の菩薩が健在であるかぎり、私は創価学会の未来は大磐石であると確信するものであります。(大拍手)
3  諸君は、日蓮正宗を一生涯、荘厳し奉ることを忘れてはならない。そしてまた、世界にただ一つの和合僧である創価学会を、純粋に永続させていっていただきたいのであります。
 大聖人のご遺命である王仏冥合達成の歴史の第一巻として、今月の終わりには衆院選の結果がわかります。衆院選が終わったあとで、創価学会に対する世間の見方が本格的に変わり、大変革をきたすことは決定的であります。私たちは、皆さん方の先輩として、一年一年、広宣流布の大道を切り開き、一歩もひかず、深く強く基盤を確立しきっていく決心であります。創価学会の跡継ぎは諸君たちだ。いま活躍している幹部ではない。私は、未来をすべて諸君に託しております。諸君らが跡を継いでも「さすが創価学会である。またいちだんと繁栄していった」といわれるようにならなくてはならないと思う。
 そのために諸君は、さらに勉学にいそしんでいただきたい。そして健康であっていただきたい。さらに、書物を数多く読んでいただきたい。「これ以上勉強できない、書物も読めない」というぐらい勉学し読書していただきたいと思うのであります。そのことが、将来、世界を舞台として活躍する諸君にとって、どれほど大きい原動力となっていくか、はかり知れません。
 その第一歩として、信心にしっかり励み、福運を積んでいただきたい。少年であるとか、まだ中学・高校生だからという安易な考えではなくして、確固たる信心を確立してほしい。学会精神を骨の髄まで知っていただきたいのであります。その福運と真剣なる勉学があるならば、諸君の偉大なる成長と、未来の活躍は間違いありません。反対に、福運と勉学がない、脆弱な土台であれば、世界のヒノキ舞台で、中道政治を標榜し、思う存分に意義ある戦いをすることができなくなってしまう。
4  話は変わりますが、さきほど原稿を書きながら、ふと富士を見ました。茜色の、夕焼けに染まった富士でありました。諸君は、これから長い人生の途上、きっと疲れるときもあるだろう。また、疑うときや、退転しかかるときや、愚痴をこぼしたくなるときがあるかもしれない。だが、富士は、いかなる嵐、暴風雨にも微動だにもしない。その富士を仰ぎつつ、いかなる批判、いかなる闘争にも揺るがない、強い強い信心の確立を目指して、生涯、人間革命に進みきっていただきたいのであります。
 今回、少年部を二部に分けることになりました。小学一年生から三年生までを少年部第一部、四年生から六年生までを第二部とします。これにより、少年部第一・第二部、中等部、高等部、学生部、男女青年部と、諸君たちの成長していく基盤、体制がすべて整いました。私が、諸君を学会の跡継ぎにするというのは、一面、公明党、創価大学、民音等々、一切の広宣流布のための跡継ぎが、全部皆さん方であるという意味でもあります。だが、その根幹はあくまで創価学会です。日蓮正宗創価学会を従に考えた場合には、その人はもはや五老僧の行き方になってしまう。
 一切の活動の源泉は三大秘法の御本尊です。その御本尊を、七百年のあいだ厳護し奉ったのが日蓮正宗です。創価学会はその日蓮正宗を外護し、広宣流布の根本的基盤となって、牧口初代会長、戸田前会長は前進してきました。この創価学会からあらゆる分野に活躍していくのが、一切の、王仏冥合の立体作戦になるのです。
 私も、正法流布のため、広宣流布のため、命をなげうって今日までまいりました。そして先輩、同志、また皆さん方のお父さんお母さんの応援で、王仏冥合の基盤、体制はすべてできあがりました。あとは、幹部、また諸君が成長して、大きく展開していけばいいのです。また、必ず展開していくでしょう。しかし、いくら私が若いといっても、活動が多角的になり、心身共にフルに使っていけば、超人間でないかぎり、疲れるのはあたりまえです。
 こうして私が、全身全霊を打ち込んで完璧な基盤をつくる意義も、その跡を諸君にバトンタッチして、進んでもらいたいからこそです。自分一人がすべてを成し遂げていこうという気持ちはありません。私は、かつて体が弱かった人間です。御本尊の更賜寿命のお力によりできるだけ長生きしてご奉公する決心ですけれども、いつまでも青年のような気持ちでいけるかどうかも疑問ですし、肉体的にも限界があります。特に、私がこのようなことを申し上げるのは、諸君に、一日でも一年でも早く、学会の最高幹部、あらゆる広宣流布の指導者に成長してもらいたい、日本の社会、否、世界のヒノキ舞台に立てる人材に成長していただきたいからであります。これだけは、私の最高の念願であり祈りであり喜びであるということを、知っていただきたいのであります。(大拍手)
5  先日、リンカーンの伝記を読みました。アメリカ史上最も偉大な大統領といわれたリンカーンも、生家が非常に貧しくて、丸太小屋で生まれたのです。そして、一庶民として、一般の家庭以下の暮らし方をしたのです。だが、その貧乏、苦難と戦い、全部打ち勝っていった。家が貧しいために小学校も卒業していません。通算して六か月ぐらいしからいしか学校へ行かなかったといわれます。しかし、その生い立ちを描いた小説のなかに「シーソーの一方に大学出の政治家を七人乗せ、反対側はリンカーン一人。それで重さをはかっても、この七人はリンカーンの重さにはかなわない、吹っ飛んでしまうだろう」という譬えがあります。リンカーンの偉大な力を物語っていると思うのであります。
 諸君は、リンカ−ンに比べて、ずっと恵まれた環境におります。学校にも通っている。また、リンカーンは偉大だといっても、御本尊はなかった。それに対し、諸君には御本尊がある。立派な、広宜流布の指導者になれないわけはありません。諸君は、食事も学費も衣服の心配もいらない。本当に恵まれていると感謝しなければいけないと思うのです。リンカーンは独学で弁護士となり、あらゆる人から尊敬されている。州会議員選挙で一回落選したものの、誠実で勉強家で努力家である人柄に、だんだん民衆の尊敬が集まり、ついには大統領選挙で当選したのです。そして、有名な奴隷解放をして、南北戦争の結果、アメリカを統一している。諸君は、このリンカーンに何倍もまさる環境にいるわけですから、それだけ偉大なる指導者になるという決心で進んでいけばよいと思いいますけれども、いかがでしょうか。(大拍手)諸君が、人々から慕われ、尊敬され、お父さん、お付きんにも「私は親孝行した」「安心してください」といえる人になっていただきたいのであります。
 なお、第三文明の建設は、政治家だけでは成し得ない。さまざまな人材が必要です。また諸君も、一人一人さまざまな性質をもっている。したがって諸君のなかから、トルストイやゲーテのような大文豪も出なくてはならないでしょう。また、第二次世界大戦のときに、国難を堂々と乗り越え、イギリス民衆を救いきったチャーチルのような信念のある政治家も出てこなくてはならない。さらに、ピットやディズレーリのような清潔な政治家も大切です。私は公明党議員に対し「日本の政治家などに肩を並べる必要はない、世界の政治家と肩を並べられる政治家に育てたい」と指導しております。これは、公明党本部が完成したときに私が最初に話したことです。小さな、島国根性の政治家になって小細工したところで、紙芝居のようなものです。(笑い)私は、諸君を、小粒な政治家などにしたくありません。
6  一方、政治家や文豪だけではなく、ニュートンやアインシュタインのような科学者となり、ノーベル賞を受賞するような人も出ていただきたいと思います。ですけれども、ノーベル賞を受賞するのは、一年に一人か二人ですから、そんなに大勢もらえそうにもない。(笑い)それから、大音楽家やジャーナリストも必要です。さらに実業家、法律家、教育者も必要となってきます。
 しかしながら、私は、一庶民として、不幸な人の味方として進んでいく人が、政治家や文豪などよりも、どれほどまた偉大な人材であるかということも知っておりますし、皆さん方も、そのことを忘れてはいけません。いずれにせよ、たとえ有名人になった人、また、違った方向で庶民の味方として、偉大な指導者として、生涯を終える人があったとしても、創価学会の少年部出身、または中等部、高等部、学生部出身という、若き日に霊鷲山会で誓い合った、この強い尊い美しい同志愛だけは、生涯忘れないで進んでいっていただきたいのであります。(大拍手)
 創価学会は本年を「躍進の年」と銘打って進んでまいります。しかし真実の躍進の意義は、きょう集まった諸君が、妙法に輝いて、未来の広宣流布の総仕上げのためへ成長していくことであり、それを私の喜びとしたいのであります。(大拍手)
 それでは、来年の正月の初登山のときに、皆さん方は一歩成長して、成績も少しでも向上して、参加しようではありませんか。そして、笑顔で晴ればれとした、全世界で最高の青少年の集いとしていただきたいことを念願して、私の話を終わります。(拍手)

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