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日蓮大聖人・池田大作

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第79回本部幹部会 日本に真の民主政治を確立

1966.11.27 「池田大作全集」第3巻

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1  十一月度は、皆さん方の熱心な努力によりまして、十七万八千世帯以上の人を折伏することができました。これによって創価学会の世帯数は、本年の目標を上回る結果となりました。私は、皆さん方のご活躍に心から敬意を表するものであります。(拍手)本年もあと一か月を残すのみとなりました。どうかこの一か月を、公私共に本年の総仕上げの月として意義ある前進をしていっていただきたい。また、よいお正月を迎える総仕上げの一か月の戦いであっていただきたい。
 小さい問題になりますが、私ども信心の世界においては、お歳暮は一切必要ありませんし、創価学会としても、そうした形式主義は禁止しております。ただし、個人の立ち場で、会社の上役や親戚や友人に、慣習上お歳暮を贈ることは、当然、この限りではありません。そちらの関係まで“信心しているからお歳暮はしない”(笑い)というような考え方では礼儀を失してしまいます。
 十二月度は「指導の月」といたします。特にこの月には家庭指導をしっかりお願いしたい。なおご主人方はボーナスをもらったら、一家だんらんの機会をつくっていただきたいし、またご婦人やお子さん方は、映画に行ったり食事をしたり、大いに楽しんでください。(笑い)この一年間、思う存分に戦った方々に、そういう楽しい一か月を送っていただきたいのです。
 聖教新聞ですでにご報告いたしましたが、さる十一月十八日に、創価高校の起工式を有意義に終了したしました。来年十二月末に竣工の予定です。なお、創価大学設立審議会および同高校専門委員会等の決定にもとづき、中学校も併設することになりました。(拍手)開校は昭和四十三年四月の予定です。敷き地面積はグラウンドを含めて四万九千七百九十八平方メートル(一万五千坪)、建て物延べ床面積は一万三千四百四十五平方メートル(四千六十七坪)であります。
2  創価学会は、宗教革命を第一義として、今日まで進んでまいりました。宗教革命を根本に進むことは、永久に変わらない指針であり、それは折伏戦であります。一方、政治革命の分野は公明党が切り開いております。また文化革命は、財団法人民主音楽協会等が輝かしい活動によって推進しております。そして、いま創価中学校、高等学校を開設するにおよんで――やがて創価大学も、全力をあげて設立していく決心でありますが――教育革命の火ぶたが切られたわけであります。これらも創価学会が目指す一切の革命は平和革命です。新しい日本の夜明けを告げる革命であります。皆さん方も、いちだんと確信を深め、新時代の建設を目指して、どうか一歩一歩着実に進んでいただきたい。私も陣頭指揮をとってまいりますけれども、皆さん方のより以上のご後援を、心からお願い申し上げるものであります。(拍手)
 ここで政治の問題について二、三話をさせていただきます。第五十三臨時国会は、きたる三十日に召集されますが、その召集にあたって、公明党をはじめ野党は、連合して衆議院の解散を政府に迫っております。冒頭から、いままでにない紛糾が予想されております。当然“黒い霧”事件の最中で開かれる臨時国会ですから、野党の結束もいままでになく強いものになりましょう。現状においては、野党が議会の運営に一切応じないという態度もわかるような気がいたします。
 しかし、私は申し上げたい。国会の召集という問題に対しては、議員は絶対に拒否すべきではない。これは、あくまでも国会議員としての義務であり、その義務は果たしていかなくてはなりません。そうでなければ議員としての資格を失うことになります。議会民主主義を重んずる公明党としては、国会の召集にはきちんと応ずべきであると考えますが、いかがでしょうか。(拍手)ただし、その後の審議については、野党連合の立ち場から、これに応じないこともあるでしょう。ここで私が心配するのは、党として、民主議会政治を確立するという立ち場は、決して失ってはならないということです。民主議会を確立するという公明党の中道政治の行き方だけは、私はどこまでも貫き通してもらいたいと申し上げているのであります。
 なお、衆議院の解散についてでありますが、十一月解散の可能性はもはやなくなりました。したがって、十二月解散、一月選挙という線がいちばん濃厚になってまいりました。自民党が解散の時期を延ばせば延ばすほど、われわれの戦いは有利になることを知っていただきたい。いずれにしても、いつ選挙になってもいいように磐石の体制を整え、満を持して悠々と進んでまいりたいと思います。
 来年一月六日に、臨時幹部大会を、東京・九段の日本武道館において開催したいと思います。この臨時幹部大会をもって実質的な一年の出発としたいと思っております。なお、これに引き続いて在京、関西をはじめ、全国各地で、一斉に地方別幹部会を開催して、来年一年間の勝利の前進の決意を固めたいと思うものであります。(拍手)
3  次に、小選挙区制について申し上げたい。皆さん方も新聞でご存知のとおり、さる十一月十七日、第五次選挙制度審議会が発足しました。これは“金のかからぬ選挙”という名目で、佐藤総理が公職選挙法改正の審議を命じたものであります。
 だが、この審議会のメンバーをみますと、会長の高橋雄豺氏をはじめ大多数が小選挙区制論者であります。結果的には、私は野党の結束、または、われわれの戦いによって小選挙区制は実現できるわけはないと確信しています。だが、現在の自民党の実態からみますと“窮鼠猫を齧む”で、どういうことをするかわかりません。
 しかし、自民党内にも相当数の小選挙区制反対論者もいるし、もしも佐藤総理がそれを断行しようとすれば、自民党が幾つにも分裂する可能性も出てきますし、野党の総攻撃、国民世論の大攻勢にあって、自らの墓穴を掘るという運命をたどるにすぎません。だが、相手は総理であり、権力をもっている人間です。私は小選挙区制の実現によって、一党独裁の天下がつくられてしまうことを民主主義のために憂うるのです。そしてこのために、王仏冥合の達成が遅れ、日本国民が不幸を繰り返していく歴史の出発になることを、私は憂慮しているのであります。一党独裁をねらう権力主義者たちが、憲法を改悪し、再軍備を強化し、しだいに戦争への道を歩んでいく可能性は十分あります。そういうことを考えても、新しい近代的な政党、近代的な議会をつくるためにも、よくこの審議会の動向を監視し、民主主義を破壊する小選挙区制は絶対に実現させないという決意を私どもはいちだんと深めて進んでまいりたいと思います。(拍手)
4  なおこの席を借りまして、私は政界の浄化、金のかからない選挙のために、公職選挙法改正案および政治資金規正法改正案を、さらに一歩先進させたものを提案したいのであります。なぜかならば、皆さん方も、政治資金規正法とか、選挙法を知り一緒に考えていただきたいという意味で申し上げるのであります。まず第一に、選挙は国民の祭典でありお祭りであっていいと思います。ところが現状の日本の選挙法では、なにもできないほど規制が厳しく、取り締まりに当たる警官ですら選挙法が複雑すぎてよくのみ込めないようです。ですから選挙活動をすることが、なにか悪いことでもするような状態であり、これは大きな時代錯誤であります。
 日本の政治は十八世紀といわれておりますけれども、その土台である大事な選挙については、十六世紀、十七世紀といわれてもやむをえない状態です。本来は明るい自由闊達な選挙であり方であくてはなりません。これは戸田前会長もよくいわれていたことです。そのために、イギリスの国民代表法以上にすぐれた選挙法をつくるべきであります。イギリスにおいては、一八八三年に「腐敗および不法行為防止法」が制定され、しかもそれが完全に実施されて今日の理想的な選挙が実現されました。すなわち、しぜんに今日のような世界の模範となる議会政治を確立したわけではないのです。「腐敗および不法行為防止法」という非常に厳しい罰則を設け、それによって初めて理想的な選挙が実現できたのです。イギリスの選挙運動の方法は、ほとんど戸別訪問によって、自分の支持する政党、政策を訴えています。しかるに日本では、戸別訪問は犯罪となるので、お祭りどころか、陰に隠れ、卑屈になって選挙をやらなければならない。これでは明るい立派な選挙はいつまでたってもできないと思うしだいです。
5  第二番目に、イギリスの前例れならって、既成政党と財界との腐れ縁を断ち切り政界の浄化を図ることであります。そのために、政治資金規制法を改正し、会社、法人、労働組合からの政治献金は一切禁止すべきであります。この問題は、池田前総理の時代、第一次選挙制度審議会において、すでに提出されております。ところがそのときは、政治活動に対する寄付ならかまわないということで、巧みに、骨抜きにされて今日にいたっているわけであります。したがって、このさい、いかなる選挙活動、いかなる政治活動に対しても、会社、法人、労働組合からの寄付を認めないということを明文化するように提唱したいのでありますが、いかがでしょか。(拍手)さらに、各政党は、その収支決算の報告書を一流新聞に掲載し、その内容を国民の前に明らかにすべきであります。(拍手)
 第三番目に、買収等の実質犯に対する罰則を強化し、連座制を厳格にし、さらにイギリスの十日裁判のごとく、選挙裁判の迅速化を図るべきであります。日本の選挙違反に対する裁判は、非常に長いために、議員の任期が満了するころに判決が下り、あまり罰則としての意味がありません。第四番目に、高級公務員の立候補を制限し、退職後二年以内は、立候補できないようにすべきです。現在は高級公務員の地位利用があまりに多すぎる。第五番目に、選挙公報等にみられる虚偽の記載には厳罰をもって臨むべきであります。保守党などでは、創価学会の悪口を、泡沫候補等を使って、選挙公報に書かせてきました。これでは公正な選挙が行なわれるはずがありません。第六番目に、戸別訪問禁止を撤廃し、国民が伸びのびと、自由に言論活動を行なえる明るい選挙にすべきであります。アメリカやイギリスなど欧米諸国では、ほとんどが戸別訪問を許しております。ところが日本だけは禁止されています。第七番目に、文書、図画の制限を緩和し、自由で楽しい文書活動が行なえるようにすべきであります。概略、以上の点だけは、公明党の議員の方々にどうしても戦い取っていただきたいし、将来は、この方向に選挙法を改正したいと考えています。
6  最後に、小説「人間革命」の連載を毎日頭をいためながら執筆しております。これからも創価学会の歴史、理念、精神、あり方、反省等を、この小説のなかに網羅していく決心であります。したがって皆さん方は、真実の創価学会の幹部として、内外共に、さすがは立派な理念をもっている、立派な行為である、納得できる指導者であるといわれるためにも、小説「人間革命」を咀嚼し、自分のものにしていっていただきたいのであります。
 十二月の幹部会のときにまた元気いっぱいお会いしたいと思います。

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