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日蓮大聖人・池田大作

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第九回「SGIの日」記念勤行会 世界に精神のシルクロードを

1984.1.29 「広布と人生を語る」第5巻

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1  「科学に国境はなし」との言葉がある。科学に国境はないのと同じように、宗教にも国境があってはならない。日蓮大聖人は「一閻浮提」と仰せのごとく、全地球の人類を救済せんとして御出現され、太陽の仏法である南無妙法蓮華経を説かれたのである。ゆえに大聖人の仏法には絶対に国境はありえないし、妙法を弘めゆく日蓮正宗創価学会の活動も、またそうである。
 アインシュタインは、次のように言っている。
 「私たちは、知性を神格化しないように、十分注意しなければなりません。知性とは、いうまでもなく強力な筋肉をもってはいますが、人格をもってはおりません。
 (中略)知性は、方法や道具に対しては、鋭い鑑識眼をもってはいますが、目的や価値に関しては盲目です」 
 「宗教なき科学、科学なき宗教はともに不完全である」
 「私は固く信じるのですが、人間の状態を改善することに対して、打算的な政治的利口さよりも、正義と真理への熱情的な意志の方が、これまでより多くの貢献をしてきました。政治的打算は、ついには一般の不信を醸成するにすぎないのです」と。
 すなわち、知性は、両刀の剣であるという特性をもっているがゆえに、目的や価値の面まで、知性を絶対視することは誤りである。
 また、これまで残念ながら、打算的な政治的利口さによって、不信感と心の濁りを、時代も社会も強めてきたといえる。そうしたなかにあって、私たちの、仏法による人間革命の運動、仏法を基調とした平和と文化、教育の活動が、いかに人類にとって、先見性に満ちた運動であったかを知っていただきたい。
2  本年も多くの日本の同志が、海外交流の旅に出発することになっている。この、世界広布への大いなる潮流をつくりゆく実践こそ、「一閻浮提」の仏法にかなった信行であり、言語や風俗の違いなどの困難を乗り越えての活動に、功徳はいやまして輝くにちがいない。
 こうした全地球の人類を結びゆく世界広布への活動に対して、御本仏日蓮大聖人、本門弘通の大導師・第二祖日興上人、そして一閻浮提の御座主・第三祖日目上人も、かならずやご称賛くださると確信する。また、九年前のグアムで開催された第一回世界平和会議にご臨席たまわった総本山第六十六世日達上人も、さぞかし讃嘆してくださっているにちがいないと強く確信する。
3  ここでガリレオ・ガリレイのうけた宗教裁判についてふれておきたい。ガリレオは、一六〇九年にみずから望遠鏡をつくり天体を観測した。木星の衛星、月の山や谷、太陽の黒点などを発見し、また地動説を唱えた。
 ところが、一六三二年、「天文対話」を出版したところ、問題となり、宗教裁判にかけられるはめになった。
 当時、ガリレオの存在は、ローマでも大きく、死刑にすることはできない。そこでローマ教皇庁は、陰険な策を講じ、法廷に向かう廊下に、さまざまな拷問の機具を並べ、これを見れば、老いたガリレオは考えを変えるだろうと考えた。
 しかし、それを見てもガリレオは、逆に「私は、まだ死ねない。人類のため、世界のため、やり残したことがある」と使命感を炎のごとく燃やし、すべてはかならず歴史が証明するであろうと確信していた。
 ガリレオは、八年前、幽閉の身となりながら、いままで以上に研究と著作に取り組んだ。「それでも地球は動く」との有名な言葉は、彼自身が述べたというより、後世の人々が彼をしのんで言ったものであろう。
 当時の迫害はすさまじかったようで、教皇庁の勝利を聞いた、かのデカルトでさえも「光の本性について」という論文を、あわてて机の引き出しにしまい込んだといわれる。また、ガリレオがやつれた身を引きずるように家に帰ってきたときには、もはや、弟子たちの姿はどこにもなかったという。
 だが、後世の歴史は彼の正しさを証明し、昨年、ローマ法王は、三百五十年目にして、この裁判の誤りを認めたのである。
 このエピソードに見られるように、宗教の名をかりて人間を弾圧してきたのが、これまでの歴史であった。
4  「大聖人の仏法の正義、日蓮正宗創価学会の広宣流布をめざす運動の正しさは、いまはわからなくても、二百年後には、かならず証明されるであろう」と、戸田第二代会長は言われていたが、日蓮大聖人の仏法がいかに偉大であるかは、かならず時代とともに明らかなっていくと確信する。
 ともあれ、私は、未来の世紀のために、世界に、仏法による「精神のシルクロード」を築きあげておきたい。それが、大聖人への御報恩の道であると信ずる。また、全人類の平和への最大の道であると思うし、尊く大切な全学会員にとって、永遠にして無限なる福運を開くゆき道であると確信するからである。
 皆さん方の世界を舞台とした活躍におおいに期待し、この日の話としたい。

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