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勇気と忍耐で二十一世紀の勝利者に 「小学生文化新聞」

1984.1.1 「広布と人生を語る」第5巻

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2  昔、読んだ本のなかに、次のような話がありました。それは、大正時代にほんとうにあった出来事です。
 お正月もさしせまった十二月の寒い日、小さな船が九州のある港から近くの島に向けて、出発しました。ところが途中で嵐にあい、四人の船乗りは遭難してしまったのです。船長さんは、とても意志の強い冷静な人でした。船に積んだ食料を少しずつ食べるよう、みんなに指示をします。ところが一人だけ、いつも心の中に不満と不平をいだいているわがままな人がいました。長い長い間、漂流を続け、食べ物がなくなっていくと、とうとうその人は、そのつらさに耐えられず、大切な仲間を自分の欲のために犠牲にしてしまいました。こうした不幸な出来事があって、絶望感は日ごとにつのっていきました。しかし、船長さんは、絶対に助かると信じてがんばりぬきました。そして残り少ない自分の食料まで、その不満の人に分け与えました。その執念の果てに、ついに、二か月後、南洋の海でハヮイからきた貨物船に助けられたのです。こうして船長さんは、人間としての尊厳を毅然とつらぬき、生きて帰ることができたのです。
3  君たちにこんなお話をするのは、どんなことがあっても、希望をもって生きて生きて生きぬいていくことが大切である。ましてや御本尊様をたもった君たちは、いやなことやつらいことがあっても、断じて負けないぞ、という「負けじ魂」があれば、どんな環境をも打開していけるということをわかってもらいたいからです。
 勉強がきらいな人もいる。スポーツが苦手な人もいる。しかし、お母さんがこうだから、お兄さんがああだから、学校の先生が……と理由をつけ、不平や不満ばかりをいって避けてしまえば、結局、自分が損をしてしまう。そして大人になっても、かえって、社会に迷惑をかけるような人になってしまいます。
4  「僕なんかもうだめだ」と思うときが、じつは大切な勝負どころなのです。
 あの船長さんも、何回も自分の弱い気持ちと戦い、きっと助かる、いやかならず助かってみせる、と勇気を奮い起こしたにちがいありません。忍耐強くがんばりとおしたがゆえに、最後は勝ったのです。
 ましてや、御本尊様に強く祈る信心の人には、無限の勇気と知恵がわいてくる。どうか、毎日の勉学に、信心に、粘り強く挑戦し、一つひとつに勝っていってください。その積み重ねこそ、かけがえのない将来への力となり、宝となるのです。
 私は、愛する少年部の皆さんが二十一世紀に大きく羽ばたいていく日を楽しみに待っています。
 学校にあっても、家にあっても、太陽のように明るく伸びのびと成長し、なにか一つの目標を立派に達成できたといえる一年であってください。

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