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日蓮大聖人・池田大作

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第七回全国通信員大会 民衆運動と言論の使命

1983.5.14 「広布と人生を語る」第4巻

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1  現代は民主主義の時代である。世界の歴史には、封建主義、独裁主義、軍国主義といった政治形態もあったが、時代の趨勢は多くの国が民主主義へと移行している。
 民主主義にあっては、あくまでも「民衆」が根本である。それを基調に憲法も制定され、社会の諸制度もつくられている。そこでは、われわれにも関係の深い「言論の自由」「信教の自由」が保障されているように、「自由」と「平等」が基本思想となっている。
 わが国も民主主義国である。民主主義の国においては、その基本理念からいって、国家の機構も、政治的、社会的、経済的諸活動も、とうぜん、国民への奉仕を目的としたものでなければならない。だが、残念なことに現実には、民主主義を隠れミノに、権威、名声、エゴのために、力の論理で民衆を踏みにじり、犠牲としている姿も多々みられる。
2  民衆運動にもさまざまなものがある。だが、民衆のなかから興隆し、民衆と強い連帯の絆を結びつづけていくことこそ、もっとも正しい運動のあり方てあると思う。そこにこそ、真実の民衆の思いが反映され、民衆から支持され、運動の永続性もあるからだ。それはまた、民主主義における民衆運動の重要な課題でもある。
 創価学会は、日蓮正宗の教義を根本に、大聖人の御遺命である広宣流布の実現に邁進してきた。それは、民衆のなかから立ち上がった、民衆の力による、民衆のための一大仏法運動である。創立以来、五十数年間の歴史をもつが、とくに戦後は、思想的にも、国土も荒廃したなかにあって、未曾有の法戦を展開し、今日の大発展を築いてきたのである。
3  民主主義、民衆運動といっても、そこには確たる思想、哲学がなくてはならない。また個々人にあっても、明確なる目的意識、人生観、世界観をもっておかねばならない。そうでないと、いつしか形骸化し、衆愚に流されてしまうからだ。
 その点、われわれの仏法民主主義の運動、広布の草の根運動には、世界最高の大仏法がある。しかも、けっして個々人を否定し、抑圧するものではない。一人ひとりの生命、人格を尊重し、自体顕照で人間性を最高に発揮しつつ、常楽我浄の大道を歩んでいける運動となっている。これ以上の、深くして広い、理想的な運動はないと申し上げておきたい。
 世間の人は、正視眼でないゆえに、その運動の偉大さを理解できない人も多い。
 日蓮正宗以外では、大聖人が御本仏であることを知らないがゆえに、根本の仏と法とに迷っているのが宗教界の実情である。
 そのなかにあって、皆さん方の活動は、如来の使いとして、妙法を弘眼、理解を深めさせていく運動となっている。仏法のうえからみるとき、一人ひとりがまことに尊い位をもった”妙法の先駆者“であると確信されたい。
4  ところで、民主主義における大きな特徴は「言論の自由」が保障されていることだ。「言論の自由」があったがゆえに、仏法の正しさを主張することができ、日蓮正宗創価学会のおおいなる発展もあったといえる。
 だが、今日では「言論の自由」の美名のもとに、言論が暴力と化し、正義正論が失われつつある。学会への非難、中傷もそうである。まさに現在は、言論における正邪の戦いに入ったといっても過言ではない。
 大聖人の御書は、一面からいえば、妙法の現論戦の先駆であったといえよう。御在世当時、大聖人には「日本第一の僻人」とまで非難中傷があった。だが「信なき言論は煙のごとし」である。いまや大聖人の御書は、末法万年へ光彩を放つ御聖訓として残されているのである。
5  私は多くの著名の記者、海外の特派員と会ってきた。社を代表し単身日本を訪れ、取材をし記事を送る。彼らのもつ英知、人間性、鋭い筆力にはつねづね関心させられた。人間的な差、修行・研鑽の差、責任感の差というものはどうしようもないものがある。
 真剣なる自分との戦いがなく、永遠に記録として残そうとの責任感もない文というものは、すでに”死んだ文“であり、感動も、波動性もない。そうであってはならない。
 戸田先生は「日本中の人に聖教新聞を読ませたいものだ」といわれていた。聖教新聞を発刊された戸田先生の心を深く体しての、日々の研鑽であっていただきたい。
 自分の仕事をもち、広布の活動の多忙ななかで、通信員としての任を果たしてくださっている皆さん方の労苦に、心から敬意を表したい。皆さん方のご健勝を御本尊に深く御祈念させていただいている。
 ここで、通信員の方々の功労をたたえ「広布通信員の碑」をよき場所を選んで建立することを提案したい(大拍手)。そして通信員全員の氏名を刻んで永遠に残したい。
 どうかこれからも、あらゆるところで真実の声を、正義の主張を展開していただきたい。 暑い季節に向かう折でもあり、くれぐれも健康に留意し、職場を大切にしながら、日々新なる心での前進をお願いしたい。明年再び、一歩成長の姿でお会いできることを念願し、私の話としたい。

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