Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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「創価鳳雛塾」の集い 平和と社会のための人材に

1982.3.20 「広布と人生を語る」第3巻

前後
1  私はこの二十数年間、未来のため、広布のために、人材の流れをつくるために多くのグループをつくってきた。青年部の、兄とし姉としての人材群に続くべきものとして、高等部、中等部のなかにもつくった。鳳雛会あり、未来会あり、二十一世紀会等々、全国に数多くある。ぜんぶこれは成功した。きょう集った諸君は、その意義において鳳雛塾として二年前に結成されたものである。遠いところまた雨のなか、よくおいでくださったと感謝している。
 指導者の使命は、どのように人材をつくり、育てるかにかかっている。また、いかに多くの優秀な人材を社会に送るかが、リーダーとしての責務である。人材を育てていくことを忘れ去った指導者は、もはや真の指導者とはいえない。
2  少々古い話だが、吉田松陰は、革命の次元から門下を育てた。福沢論吉は、教育の次元から人材を育てようとした。西郷隆盛もまた、立派な指導者であったであろうが、意見の対立からとはいえ、多くの青年を犠牲にした。これはまことに悲劇である。私は、指導者は絶対に青少年を犠牲にしてはならないと訴えたい。
 いま、私たちの人材育成はあくまで“人間”を対象にし、土台にしている。また、もっとも大切な“生命”を根幹としているのである。その目的と意義は、日蓮大聖人の仏法を根本として、生涯にわたって人間完成をめざしていく人材を、社会と平和のために輩出せんとするのだ。
 文学の次元、芸術の次元、経済の次元等々のさまざまな次元の人材育成論があるが、すべてその根底にかかわっていくのは“人間”であるからだ。
3  諸君は、多くの良書をいまこそ読むべきだ。しかし、万巻の書といえども、すべてが大聖人の仏法の序分であり、流通分であることも知らなければならない。わが生命は十界三千の生命である。宇宙それ自体もまた十界三千である。万巻の書といえども、ここよりは出ないものである。そこに、好むと好まざるとにかかわらず、絶対の宇宙の根本法たる妙法を信じなければならない意義があるのである。
 組織がどうとか、先輩との折りあいが悪いとか、学会批判が多いからとかいって“信心”を破壊するようなことだけはしてはならない。
 それらの感情を超克して、この絶対の法たる妙法を信ずることが、信心であるかだ。本末転倒してはいけない。この一点がこれからの諸君にもっとも大切であるから強調しておきたいのだ。
4  先日、連合赤軍事件の被告の告白が新聞に出た。当時の彼らは革命をうたい、英雄であるかのように振る舞っていたが、いまは敗残者という以外にない。かつて過激派による学生運動で、多くの犠牲者が出た。いちじは信念に燃えて、英雄のようにうつった者も、いまでは民衆に背を向けられている。
 また、マスコミにのった人気者や有名人の多くが、年々わびしく消え去ってもいる。私は仏法者として、いつも痛々しい気持ちで見守っている。これらの激しい流れを見るにつけ、みずからを失って一時的な幻惑に左右されていくことは、まことに不幸であると申し上げておきたいのだ。
5  若き年代から、生涯にわたって、つねにみずからを映しゆく御本尊への信心でなければならない。また、夢にとらわれるのでなく、現実の自分を見つめていく人生であってもらいたいのだ。
 日蓮大聖人の御一生は法難の連続であられた。その大聖人の門下であり、信徒であるわれわれにもまた、難のあることは覚悟しなければならない。
 そこで銘記すべきことは、大聖人の仏法は釈尊の仏法と違って本因下種の法門であるということである。世間では、まったくこの法理を知らない。凡人である私どもが、いかに非難、中傷されても恐れることはない。むしろ、非難、中傷する人々に対して、じつは大聖人の下種仏法は「毒鼓の縁」という仏法の原理によって逆縁を結ばせながら、妙法の種を植えていくことができるのである。
6  風速四〇メートルの台風でも微動だにしない建物は堅牢である。また、激しい地震にあっても破壊されない建物も堅牢である。と同じように、最悪の状態の人生にあっても、悠然とすべてを乗り越えていける力をつけていくのが、この大聖人の信心なのである。「賢聖は罵詈して試みるなるべし」との御聖訓のとおりである。
 厳しき社会にあって、広布の原動力となる人生を打ち立て、実証をつくっていってこそ、信仰者といえるのである。
 わが人生を歩みゆく前途に、いかなる嵐があっても、広布のために、生活に確固たる根をはっていただきたい。偉大なる妙法であるがゆえに、強盛なる信心の君たちがいるところには、かならず功徳が証明されることを疑ってはならない。
 最悪の事態をも乗り越えたという基盤のうえにこそ、広布の永遠性が築けるのである。ただ世間にほめられることを望んだり、甘えの環境にあったとしたら、一つの大難にあえば即座にすべてが壊滅してしまうであろう。
7  最後に、全員がそれぞれの志望する大学に進学していただきたい。また、やがては両親を海外に連れていってあげられるぐらいの親孝行の人であってほしい。
 ともあれ、この正しき信仰を生涯貫きとおして、偏執のない全体人間として、立派な広布と社会の指導者になっていただきたいことを、私は心から願ってやまない。

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