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日蓮大聖人・池田大作

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第20回学生部総会 わが人間革命の坂を登りゆけ

1978.8.31 「広布第二章の指針」第14巻

前後
1  最近、ある識者と会い、たいへん興味深い話を聞いた。それは、戦犯の身として獄中につながれたときの体験であった。要約していうならば、一国の指導者とはいえ、ひとたび戦争に敗れ、その責任を問われたときの、あまりにも醜い姿をさらけ出した人間のエゴの深層を語ってくれたものであった。
 私はこの1つの体験を聞きながら、弱いといえば人間ほど弱いものはないと思った。
 しかし、人間ほど強いものはないということも事実である。そして、その強い人間であることの究極こそ、三世にわたる因果の理法にもとづく”信心”そのものにあると、まず強調しておきたいのである。
2  諸君は、若き学生として偉大なる御本尊を受持でき、信心しているということは、それ以上のなみなみならぬ福運はない。その源泉の福運だけは失ってはならない。
 しかし、諸君は、これから社会に出たときには、さまざまな人間関係の悩みや苦しみに直面するであろう。この世は娑婆世界、堪忍の世界ともいわれるように、そうした苦悩は一生涯つきまとっていくものである。
 したがって、もっとも大事なことは、どれだけ深い信仰をもち、どれだけ自分の境涯を高めていくかに尽きるといってよいだろう。その人の人生の勝利もこの一点によって決定づけられていくものだ。そして、この重要な人生の土台づくりは、諸君の世代においてほかにはないことを強く銘記されたい。
3  人生のもっとも重要な基礎を築く時が今だからこそ、信心だけは、いちだんと強盛でなければならない。「月月・日日につより給へ」との御聖訓もあるように、社会に旅立っていくこれからが、いよいよ本格的な信念の出発であると自覚しながら進んでいくことを、諸君の基本姿勢としていただきたい。
 この点を深くわきまえながら、生涯にわたる自分自身の人間革命、一生成仏への坂を一歩一歩見極めつつ、確実に前進していくよう、心より祈っている。
4  冒頭に紹介した戦争体験が示すとおり、人間としての真価はいざというときに表れてしまうものだ。諸君の活躍する時代社会とは、その場面は違っているかもしれないが、しかし、同じ凡夫の世界である以上、同様の局面はこれからもかならずある。
 そのときに人間としての真価、偉さを決定づけるものこそ、水の流れのごとく貫き通した信心にあると思う。この水の流れのごとく貫き通した信心を基準とし、鏡としていくならば、人生を憂える必要もなければ、悲しむ必要もない。一切が変毒為薬していけるからだ。
5  知識は善悪に通ずる。知識はまた、幸福の要素にもなれば、不幸の要素にもなる。したがって、知識それじたいが即幸福とはならない。つねに両面の要素を含んでいるものだ。この知識を生活に生かし、人生の価値としていけるために、われわれは御本尊に祈り題目を唱えていくのである。
 この強盛なる祈りによって、自分自身のなかにある幸福の源泉となる知恵が発現され、このかぎりない知恵によって学んだ知識をぜんぶ自分のため、社会のために還元していけるのである。ゆえに信心は、幸福の根本法則となることを忘れてはならない。
6  ともあれ、私どもは、一生成仏のため、広宣流布のために正信の道を貫いていかねばならない。私どもの真心の行動は、すべて大御本尊様が見通しておられる。われわれ信者は、ひたすらに御本尊様を信じ奉り、永遠に宗門を外護し、代々の御法主上人猊下を仰ぎ奉って生きぬいていけばよいのである。それ以外の方法は、信心という原点においてはないからである。
 日蓮大聖人の仏法は、人類の灯台である。その灯台の光を、諸君が全世界の人々に知らしめていっていただきたい。諸君のます享の健康と妙法の英知輝きわたる大活躍を心から期待し、本日の指導とさせていただく。

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