Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

正本堂記念参詣 ”生命文化”の興隆を

1975.10.12 「広布第二章の指針」第7巻

前後
1  ひとことごあいさつ申し上げます。
 ただいま、親愛なる皆さま方とともに、心を一つにして、正本堂建立第四回記念御開扉に参列いたし、感慨を新たにしたしだいであります。不肖私、全員を代表して、日達上人猊下に厚く御礼申し上げます。それとともに、御法主上人猊下のますますのご健勝なお姿を拝し、心からうれしく感じておりますことを、あわせて申し上げるしだいであります。さらにまた、各坊各寺院の御尊師方には、法のため、世界平和のために、ますます僧俗一致の路線拡大へとお力ぞえくださいますよう、くれぐれもよろしくお願いを申し上げます。
 申し上げるまでもなく、本日は御本仏日蓮大聖人が、全世界を対象として、三大秘法惣在の本門戒壇の大御本尊をご建立ましまし、出世の本懐を遂げられた記念の日であります。御義口伝を拝してみますと「仏は唯一大事因縁のためだけにこの世に出現なさるのであり、そのことがそのまま諸仏出世の儀式であり、またこれが出世の本意にほかならない」との内容を明白にお示しであります。
 ふつう、私ども一般人の場合でありますと、おのれの人生に処する態度は”多目的”であります。職業について、経済について、家庭について、健庚について、趣味や教養について等々、あれやこれや人にはいわずに心のなかにしまいこんでいる”ねらい”がいっぱいあり、この事情からして”多目的”だと指摘することができましょう。
 ところが御本仏は”一目的””であります。「ただ法華経を広めようと励むばかりである」と断言しておられます。「毎自作是念以何令衆生得入無上道速成就仏身」つまり、衆生に対してどのようにして、当体蓮華の仏果を体得させようかと、思うことはつねにその一事だけである、との仰せであります。私は私を含めたこの一般人の”多目的”た人生態度と、大慈大悲の一事に徹しておられる御本仏の”一目的”なご態度との対比のうえにおいて、心中深く打たれ、かつ感激をおぼえてやまないものであります。
 また「御義口伝」には「一は即ち一実相なり五に非ず三に非ず七に非ず九に非ず故に一と言うなり、其の性広博にして五三七九より博し故に名けて大と為す」ともございます。「仏様は一目的」とはそのお働き(用)の視点からの表現でありますが、その正体・基体(体)の面から拝すれば「一実相」つまり相対性を越えた絶対性の文底妙法でありまして、それは五乗、三乗・七方便・九法界といった”多目的性”を帯びている相対的な一切の教え、一切の学理、一切の凡聖の人々を越えてはるかに偉大にして絶対なものなのであるとのご指南であります。少々むずかしい話になりますが、将来のためにひとこと述べさせていただきます。
 世間で仏法はどうもわからないというのは、これが実践体得の領域の出来事であるのを、無理に客観してながめる分析の領域へ引き込もうとするからわからないのであります。体験事項と客観事項の性資差を無視するからわからないのであります。しかしながら、私たちは宿縁深厚のゆえに世に先駆けて大御本尊のご威光に浴し、幸いにもその偉大性に日夜恵まれておるのでありますから、きょうの盛儀を機として、いよいよ勇んで広布大願へと進んでまいりたいと思います。
 私も断固、広宣流布のために、すなわち正法を基調として平和と文化のために、一切の嵐を来り越えて、戦いぬきます。
 いまここに歴史の過程をみるに、日蓮大聖人のご出現までは、末法の世には「生命の文化」というものはありませんでした。現代文明はルネサンスを母体として今日の発展段階までたどりつきましたが、人文科学はどこまでも「思想文化」であって「生命文化」とは異質であります。自然科学は人類へ生活手段としての「環境文化と技術」とを与えてはくれましたが、直接に個人から民族、人類までを対象としてその復興、健全なる繁栄を約束できる「生命文化」ではありませんでした。医学といえども、それは人間の”生理”を取り扱っているわけで、一身即三身三身即一身という”生命の総体”を取り扱っているのではないのであります。
 ご承知のように、諸科学はどれも”部分”を取り扱うものであります。したがって科学や技術の発達は”部分”の充実や発達を導き出します。その発達は、その科学その技術自体にだけいちばん都合のいい方向へといきますから、今度は発達するごとに、かえって全体としてはまとまりがたくなる。そこのところが文明の奥に潜んでいる魔性であります。その姿はまるで現在の大東京に似ております。
 工場も繁華街も学校もマンションも港も空港も交通網もデパートも、その一つ一つはますます良くなっていくが、全体としてはますます住みにくい過密都市になっていく。
 人類の文明や大事なこの地球をそういう方向へ推し進めるのは断じて防がなければなりません。強力に「生命文化」を興隆して地球の危機を解消していくことこそ、妙法の使徒たるわれわれの任務であります。どうかこの大事に思いをはせて、それぞれの立場でぞんぶんに活躍され、三世にわたる大功徳をわが身に得られんことを、せつにお祈り申し上げるものであります。
 さて、すでにごらんのとおり、本日は海外から約千五百人の友だちが参加しております。香港三百七十三人、タイランド三百六十人、インドネシア百五十三人、オーストラリア七十三人、そしてマレーシア、シンガポール等々、さらに遠くは南米からブラジル三百九十六人、パラグァイ、アルゼンチン、以上各地の友だちであります。海外の皆さん、遠路はるばるようこそおいでになりました。私たち一同、心から歓迎申し上げます。
 姉妹都市の親善訪問、座談会など各行事への出席等、ずいぶんスケジュールはつまっているようでもありますが、どうか「天高く馬肥ゆ……」という日本の秋をぞんぶんに満喫してください。
 なによりも、御法主上人猊下が、きょうの日のためにとくに園遊会をもうけてくださっております。午後四時ごろから大客殿ピロティーにて開催されますので、日達上人猊下のお心づくしをゆっくりと心ゆくまでお楽しみくださるよう、この席をお借りしてご案内申し上げます。では皆さん、たいへんにご苦労さまでした。どうぞ、お元気で。

1
1